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2009年6月

2009年6月21日 (日)

第50回 大阪住技会研修会・旅行記-『 武智丸と大和 』 Ⅰ

■ 6月19日(金) 天候:晴れ
 梅雨時期にしては,うそのような快晴。
 参加者ひとりひとりの日頃の行いが功を奏したのでしょう。
8:15 集合時間 JR大阪駅 桜橋口 
参加者24名遅滞なく集合し,バスに乗り込みました。 
バスは中型のトイレ付きでした。 20090601 

喫煙者の席はバスの後部。
われらが小川課長,
昼食会場に着くまでビールを片手に
熱く “生コン” を語る傍らで,
静かにタバコをふかす
藤野課長でした。

11:30   昼食会場である福山ニューキャッスルホテルに到着しました。
  ホテル内のフレンチレストランロジェにてコース料理でした。
  厳かな雰囲気で,なんとなく落ち着かない一行でした。
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            福山ニューキャッスルホテル                  フレンチレストランロジェ
 

13:50      昼食後再びバスで 1時間ほど下道をゆらゆら走ると,
  安浦漁港が見えてきました。
  それは突然現れました。 20090604
  一行の反応です。
  「 んっ!?  なんやっ えらい小さいな! 
  「 カットやっカット,次行こっ 
  なんて言いながら,一同元気にバスを降り,
  『 武智丸 』 に乗り込みます。
  実際に,手の届く場所までくると
  大きく感じました。
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防波堤として,現在でも供用されている  武智丸  は,入り口付近の
看板でひっそりと紹介されています。
看板によると  武智丸  は,私たちの故郷である大阪の土木会社の
武智昭次郎氏が設計したとのことです。
鋼材が不足した当時,それを補う材料として   コンクリート 』  で船が
造られたのです。
 武智丸  は,呉地域広域商工会青年部のホームページ
観光スポットとして紹介されており,無料で立ち入ることができます。

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船室             デッキからの船首              デッキから船尾

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1号船と2号船の結合部 船端 後部舷側内部
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内部に海水 ? 船首 船首舷側内部

昭和という時代は,64年続きました。
この武智丸は,1944年に建造されてから昭和と同じ64年を経過して,
なお,供用されています。
戦時中は,輸送船としての役割をこなし,戦後は防波堤として新たな
運命のもと,静かに生きています。

    14:30 再び,バスの乗り込んで,次の見学先に移動を始めます。
バスに乗る直前,ある方が声をあげます。
「コンクリート船って,バッチャープラント船と違うんヤ。
  コンクリートのフネなんて,せいぜいカヌーくらいまでかと思ってた !!
バスの中では,鑑賞用のDVDが放映されました。
放映された映画は,次の見学先との関係が深い  男たちの大和  でした。

    15:30 次の見学場所 『大和ミュージアム』 に到着です。
あの有名な戦艦大和の 1/10 の模型が展示されている場所です。

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                     大和が建造されたドッグ                    大和ミュージアム

ミュージアムの外には,『 陸奥 』 という戦艦の大砲とスクリューそれに舵が
展示されています。

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陸奥の大砲 陸奥のスクリュー 陸奥の舵

いよいよ,ミュージアム内を見学します。
このミュージアムは,大和の模型のほか,大和の大砲で使用された砲弾,
特殊潜航艇,人間魚雷及びゼロ戦等が展示されていました。

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ミュージアム内 大和の模型 特殊潜航艇

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人間魚雷 零式戦闘戦 零戦のエンジン

ミュージアムの近隣には,以前に活躍していた潜水艦あきしお がそのまま,
博物館になっています。
『 てつのくじら館 』 という名の博物館でした。
機雷や機雷を除去する装置の展示と,潜水艦内部が公開されていました。

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                   潜水艦あきしお                      てつのくじら館

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ペルシャ湾の機雷 機雷除去の機銃 潜水艦入口

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シャワー・トイレ室 乗務員寝室 狭い艦内

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艦長登場 !! 操舵機器を眺める藤野課長 潜望鏡を覗く小川課長

見学終了後,映画  『 男たちの大和 』 の撮影で使用されたセットを背景に,
参観者全員で記念撮影を行いました。

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展示会場 撮影セット展示 はいっ,チーズ!!

16:45 予定時間をやや過ぎた頃,宿泊先のホテルに向けてバスは出発しました。
バスに乗り込むや否や,小川課長がつぶやきます。
 戦艦大和の波動砲見るの忘れたわ 
『それはマンガの宇宙戦艦ヤマトやっ!』
心で失笑しながら,傍らで静かにタバコを吹かす藤野課長でした。
バスはゆっくりと宿泊先に向かい,広島の夜が更けてゆきました。

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by 堺臨海 技術課長 小川 英樹
兵庫大阪 技術課長 藤野 浩行
謎の通信社 カメラマンT

第50回 大阪住技会研修会・旅行記-『 武智丸と大和 』 Ⅱ

■ 6月20日(土) 天候:晴れ 昨日に続き晴天。
      9:00 一行はバスに乗り込み,一路安芸の宮島に向かいます。
バスの中では,昨日に引き続きDVD『男たちの大和』が放映されました。
車窓から,原爆ドームが通り過ぎてゆきました。
広島は,栄光と悲惨さの両方を持ち合わせています。
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『 男たちの大和 』 鑑賞 原爆ドーム

      9:55

道中は予想外に混んでいたため,バスが港に到着後,一行は乗船予定で
あった宮島行きフェリーに走って乗り込みました。

    10:20 フェリーが宮島に到着しました。
一行は厳島神社を拝観し,大鳥居及び客(まろうど)社祓殿(はらえどの)の前でそれぞれ記念撮影しました。

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大鳥居にて 「はいっチーズ !!」 客社祓殿にて 「はいっチーズ !!」

    11:45 宮島をあとにして,一行は,
再びバスに乗り込み昼食会場へと向かいました。

    13:00 道は予想外に渋滞しています。
このため,予定時刻を15分ほど過ぎて昼食会場に到達しました。
広島の有名な食べ物といえば ? そうです。あれです。アレ !
15分の遅刻は,“広島焼き”を食べ頃にしてくれていました。
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    14:37 すべての研修プログラムを終え,
あとは新幹線に乗って阪神地区にもどるだけになりました。

車両は,修学旅行から帰還する
小学生と同じでした。
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アルコールが抜けず睡眠不足で
ぐったりしている “ おっさん ” の
後ろで,元気よく動き回る神戸の
小学生達でした。

【終 幕】 
『 コンクリート船 武智丸 』 と 『 戦艦大和 』
あまりにも対照的な運命をたどった “ フネ ” です。

瀬戸内の海風が静かに語ります。

『 鋼材不足から,国産でまかなえる材料を使って造られた 武智丸 。
   しかし,輸送船としての軍務を立派に果した後,
   防波堤として第二の人生を未だに歩んでいるフネだ。
   一方の大和は・・・。
   国家予算をはるかに超える費用で,建造されたこのフネは,
   戦艦としての役割を果すことなく海の藻くずとなった。
   そのスペック(設計)だけが伝説化されているが成果はなし。
   期待された役割を果したのは,どちらのフネか明白であろう!   』

   瀬戸内の海風の声に励まされ,明日から再び “ 生コン ” を創ります。

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by 堺臨海 技術課長 小川 英樹
兵庫大阪 技術課長 藤野 浩行
謎の通信社 カメラマンT

2009年6月18日 (木)

アイコンタクト

今日,知人である,QMS主任審査員と会った。

要件は, 『 CPD 』 いわゆる継続的な能力開発 ( Continuing Professional Development ) のことであったが,ついつい世間話やISOに関することで2時間程度話し込んでいた。

『 資源の少ない日本が,このように成長したのは,努力で身につけた能力と
  その勤勉さからであった。
  それを支えてきたのは,教育だ。今一度教育を考え直さなければいけない。』

彼が審査で多くの時間をさくポイントは, 『 マネジメントレビュー 』 と 『 教育・訓練 』 である。

『 教育訓練の結果の評価,力量の評価は給与明細書だよ ! 』

いつも通りの持論を唱えたあと,『しかし,若い者にも,ガッツのあるやつがいる』 と付け加えた。

睨み付けるような目で,考えながらしゃべる彼にはいささか似合わない言葉である。

話は針路を示す 『経営者のコミットメント』 の重要性から,いつもどおり 『コミュニケーション』 へと続き,最後に私の無力さを再確認してお開きになる。 

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『 マネジメントで大切なのは,和をもって貴しだな 』

今回は,話題が豊富だ。「聖徳太子の十七条憲法」がでてきた。

ものごとに,『自分だけが正しいということは,あり得ない』 というのである。

ここで,花山勝友著 『 高僧伝 聖徳太子(集英社発行) 』 による現代語訳を紹介する。 

   
   一に曰く
  第一に示しておきたいことは,
  人には調和が何よりも貴重であり,
  他の人々に逆らわないようにすることが大切である,
  ということなのである。
  人はそれぞれ好むグループがあるし,
  心が充分鍛えられているような者は少ないものだ。
   
  従って仕えるべき上司や両親の命令にそむいたり,
  まわりの人だちと意見を違えたりもすることになるのだ。
   
  しかしながら,
  もし上の者の心が穏やかで,
  下の者の心が素直で有れば,
  たとえどんなことを議論したところで,
  必ずお互いに理屈が通じるようになるから,
  世の中で達成できないことは
  何もなくなってしまうのである。
   

参考に,10条と17条も記載しておく

   
  十に曰く
  第十に示しておきたいことは,
  心の怒りを無くし,
  外側に怒りを出すことをやめ,
  そして他の人たちが
  自分と違う意見を持っていることに対して
  腹を立ててはいけない,
  ということなのである。
   
  一人びとりにはそれぞれの心があって,
  その心が拠り所とするものは同じ訳ではない。
  相手が正しいとすれば自分が間違っているのであり,
  自分が正しいとすれば相手が間違っていることになる。
   
  自分がいつも偉いということはないし,
  相手がいつも愚かであるということもない。
  お互いに平凡な人間にしかすぎないのだ。
   
  一体誰が正しいとか間違っているとかを
  決めることが出来るということなのだろうか。
  ちょうど,丸い輪には端がないように,
  お互いに賢いこともあれば愚かなこともあるのだ。
   
  したがって,
  たとえ相手がどんなに腹を立てても,
  自分の方が間違っていないかどうかを
  まず考えるべきなのである。
   
  そして,
  たとえ自分が正しいのではないかと思ったとしても,
  他の人々の意見を聞いて
  同じように行動すべきなのである。
   
   十七に曰く
  第十七に示しておきたいことに,
  物事を決断するときには一人でしてはならない,
  ということなのである。
   
  必ずみんなと一緒に
  相談してから決定すべきなのである。
  小さな問題の場合は
  そんなに重要ではないから,
  必ずしもみんなで相談しなくてもよいだろう。
   
  しかしながら,
  重要な問題について議論する場合には,
  少しでも間違った結論に
  到達する恐れがあってはならないのである。
   
  だからこそ
  多くの人々と一緒に議論することによって,
  正しい結論に到達できるように
  するべきなのである。
   

私たちは,宗教の話でも,道徳の話でもなく,マネジメントの話をしたのだ。

Group HiRAC の諸君。
先入観をなくして,穏やかな心で,もう一度読んでもらいたい。
マネジメントの考え方には,新しいものはないのである。

「難しいことを,あわてることなく,簡単にこなす者」
それが,プロだとお互いに言ってきた。

一人の世界なら,自らの努力で目標を達成出来るだろう。
しかし,私たちはチームの中で生きている。
単純なその時だけの打合せで,プロとしての仕事が出来るのだろうか?

サッカーで 「アイコンタクト」 という言葉が使われる。
その場限りのコミュニケーションで, 「アイコンタクト」 は生まれない。
すばらしいプレーが生み出されたのなら,個人の能力によるプレーに過ぎない。

日常の「コミュニケーション」こそが,「アイコンタクト」を生み出し,チームを勝利の歓喜に導く。

羅針盤が方向を指し示さなくても,起こっている現象にとらわれることなく生き抜く力を身につけ,そして,私たちも,新しいステージに向かって,スマートに 「アイコンタクト」 したいものだ。

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 誰でもない,君が灯をつけろ!            フーテンの熊

2009年6月15日 (月)

『 暗黒面Ⅱ 思考停止 』

ボンド,ベトン・ボンド。

トゥルルッ・トゥルルッ【電話が鳴っています】

「はい。○○生コンですが。」
『明日の生コン,ポンプで打つのよ。
40㎜やとポンプ押せへんからね。悪いけど中身20㎜でお願いできる ? 』

「生コン納入書も20㎜になりますがいいですか ? 」
『えぇ ? こまるよ ! だって役所に通らへんもん。ほんじゃ,××生コンに頼むよ ! 』

ガチャン・ツー・ツー………

Aaah

      心の叫び1……<キャンセルかよ ! 庸車キャンセルできへんがな>
       心の叫び2……<応じてるんは,どのプラントや ! >

時折り(?)見かけるシーンです。
40㎜のコンクリートを打設しようとしていますから恐らく,土木工事でしょうね。

**************************************************************************************************************************************************************************あの地方のお話です。
皆さん,覚えていますか?(憂い地域格差無回答天佑 )
この地方にも,数名の賢人がおいでになり,賢人たちは「レディーミクストコンクリート納入書」の単位量記載に関して真っ向から勝負しようと画策しています。
そうです。
上記の電話が頻繁にかかる地方なのです。

先の賢人たちは,自体の元凶に立ち向かうべく,役所の土木工事を管理している部署に,粗骨材の最大寸法を40㎜から20㎜にしてもらえるよう,設計変更を訴えました。

応対した役所の担当者は,すました表情で冷たく答えたそうです。

「前例がありません。
  また,40㎜では圧送できない等の報告は1件も上がってません。
  従いまして,仕様を変更する理由がありません。                           」

長年,“ 施工のしやすさ ( あるいはしにくさ ) ” という課題についてどのように解決してきたのでしょうか?

電話の例のように私たち生コン会社が涙を呑み,怒りをこらえて対応してきました。
心ある施工会社の場合,役所に設計変更を申請する場合もありましたが,役所の裏技 “ 特例処置 ” 対応等で巧みに処理され,設計変更に至らないようです。

この裏技は,前例を認めないための手法で,次のように処理されるとのことです。
たとえば,最大寸法20㎜の生コンを使って工事を進め,工事完了間際に設計変更を申請します。
すると,設計変更するのに十分な工期がない等の理由から,本工事の生コンを特例として処理するのです。

つまり,仕様書が実態に即していないことを明確にするよりも,仕様書を守るためにダークサイドな手法がとられているようです。

生コンを使う場合, “ 打設する ” や “ 打込む ” と表現されますが,何故だかご存知ですか?
1900年代の生コンは,橋台や橋脚等の断面の大きな部材で無筋コンクリートとして利用されていました。
この時代の生コンは,非常に硬練りの生コンを木蛸等で叩きこんで施工していました。
叩きこんで施工していた名残りで,今でも “ 打設する ” や “ 打込む ” といった表現が使われています。

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写真 日本最古のコンクリートダム(布引五本松ダム 1900年)

現在,耐久性200年のコンクリート構造物を目指そうとしている次代です。
「五本松ダム」 のように108歳となっても,なお供用できるすばらしい コンクリート構造物 もありますが,お役人の方々は思考停止(意味のない前例の踏襲)を止め,前例のない事象や提案を積極的に検討し,仕様書を創り替える努力を心からお願いします。

私たち生コン会社は,型枠に生コンを納めるだけがシゴトではありません!
このシリーズは,もうあと一回継続します。
次は,私たち “ 生コン業界 ” のダークサイドを洗い流します。

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  今回は土木工事に関してと “ お役所 ” に対してでした。
                     by ベトン・ボンド

2009年6月 8日 (月)

『 暗黒面Ⅰ 』

ボンド,ベトン・ボンド。
生コンの受領書に使用材料の単位量記載にまつわるお話です。
このお話は大変な誤解を招く危険性がありますが,勇気を振り絞ってペンを取ります。

**************************************************************************************************************************************************************************平成7年に発生した阪神大震災は,例えば,阪神高速道路の一部が倒壊したことや,崩壊したマンションがかなりあったように,私たちが携わる生コンが使用された鉄筋コンクリートが大きな打撃を受けました。

特に細長い部材(建築物の柱や梁)に使用された鉄筋コンクリートは座屈 が発生しました。
この現象は,むずかしい用語で “ せん断破壊 ” と呼ばれ,建物に深刻なダメージを与え人命にも大きく影響するといわれています。

阪神大震災以降,建物の設計は,鉄筋コンクリートの座屈せん断破壊)を防止するための対策が行われるようになりました。

梁部材には,あばら筋(スターラップ),柱には帯筋(フープ)を細かく配筋して補強するようになりました。〔なぜ鉄筋をいれるのか

つまり,以前に比べて内部の鉄筋が細かく(鉄筋と鉄筋の間隔を狭くして)配置されるようになり,いわゆる,生コンが打設しにくい設計になっています。

5月のある日,数社のゼネコン技術者と食事する機会がありましたが,この技術者たちは口をそろえてこう言いました。
“ 施工しにくい,つまり,打込みにくい生コンは,良い生コンとは言わない。 ”

そこで透かさず,くちばしの黄色い “Mr.ロボット刑事k” が口をはさみます。
“ でも,ゼネコンは打てないスランプのオーダーを止めませんよねぇ。おかしいですよねー ”

その技術者達は,声を絞って寂しそうに応えます。
“ うん。でも,こんなスランプじゃ打てないと設計に言い返すと,工事を止められるんだよねぇ。
 工期延長は現場の責任なんだよ・・・。ヤツらは現場のこと,解ってないんだよ! “

Eeeh

 心の叫び……<だから上限いっぱいのスランプを要求すんのかよ!!!!>

 

ゼネコンさんの内情は詳しく解りませんが,どうやら建物を「造る側」よりも「設計する側」のほうが権限が大きいようです。
あるいは,「造る側」が「設計する側」にうまく説明できないのかもしれません。

しかし,このギャップに対して,生コン工場が安易に 「スランプ上限出荷」 で対応することが問題の解決策になるとは思えません。

STAR WARS ” は,ジョージルーカス監督の有名な映画です。

この作品に,フォース(理力)という不思議な力を,理性で制御する 『 ライトサイド(ジェダイ) 』 と感情のまま開放しようとする 『 ダークサイド(暗黒面) 』 との争いが描かれています。 
全作品(2部6作品)を通じて,安易な道とされている暗黒面に取り込まれた哀れなオトコの物語です。

私たち生コン業界は,土木建築業界の 「施工側」 と 「設計側」 の隔たりを目の当たりにして,ダークサイドな解決法(スランプ上限出荷)を是としてはなりません。

平成22年4月から JIS A 5308 が規定する “ 納入書への単位量記載 ” は,設計側と対話する機会になるかもしれません。

今回は,主に建築工事のお話でした。
次回は,『 暗黒面Ⅱ 』  として土木工事でお話したいと思っています。

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 そろそろ梅雨かな?

 過ごしにくい季節を迎えます。

         by ベトン・ボンド

2009年6月 5日 (金)

軽量骨材の受入数量について

軽量骨材の打合せをしている時に,受入数量についての質問が事務局の方から出ました。

注文する数量と請求される数量が違う明確な理由を求められたのです。

技術担当者は,受入数量を質量で考えることが多く,注文も質量(ton)でします。
しかし,取引のための見積では,骨材などでは容積(m3)で設定されている場合があります。
私たちが取引する軽量骨材についても,質量(ton)で注文し,容積(m3)で請求がきます。

事務局の質問は,質量から容積に換算する場合の方法でした。

技術担当者も,単位容積質量や軽量骨材であるため含水率に関係することは説明できましたが,どのような値が採用されているのかは,理解していませんでした。

そこで,生産者である 「太平洋セメント株式会社 関西支店 資源営業部」 に次の点を問い合わせてみました。

a) 質量から容積に換算する方法
b) 換算式に使用される係数の根拠

担当者の方から, 「太平洋アサノライトの納入数量(お取引数量)について」 として,次のようにご返事をいただきました。

             
  1. 納入数量(お取引数量)は,容量(m3)となります。
  ・通常弊社工場出荷時は,含水状態となっております。
  ・出荷時の含水率は,品種によって異なりますが,15~5㎜では30%程度です。
  2. 納入数量(お取引数量)の計算について・・・数量換算方法
  ① 含水状態での製品重量測定
  ・製品納入(お引渡し)時の数量は,含水状態の重量となります。
                                  (納入時の伝票は重量表示)
  ② 含水状態での製品重量を絶乾状態の重量に換算
  ・絶乾重量(t)=含水状態での製品重量(t)/( 1 + 含水率/100)
  ・含水率は弊社工場にて出荷時にサンプリングし,試験を行います。
  ③ 絶乾重量(t)を容積(m3)に換算
  ・納入数量(お取引容積:m3)=絶乾重量(t)/製品容重(t/m3
                                  (小数点以下2位を四捨五入)
  〔太平洋アサノライトの取引容重〕 絶乾状態(ショベル法)で測定
  ・15~5㎜(軽量粗骨材)の場合は,0.740 t/m3
  ・軽量細骨材の場合は,1.0 t/m3
  ④ 上記計算にて換算された数量(容積:m3)が,お取引数量となります。
   
  換算例
  太平洋アサノライト 15~5㎜(軽量粗骨材)で,
  納入時の製品重量(含水状態)が 10t,含水率が 30.0%の場合
  ① 納入時の製品重量(含水状態)   ・・・ 10 t
  ② 絶乾状態の製品重量に換算             ・・・ 10t/(1+0.300)=7.692 t
  ③ 絶乾重量(t)を容積(m3)に換算    ・・・ 7.692 t / 0.740 t/m3 ≒ 10.4 m3
                                                以 上
     

ここで,絶乾状態での ショベル法 (太平洋セメント社の社内用語) による取引容重とは,ダンプトラックに積載する場合のように,軽く積み込んだ状態の単位容積質量を意味しているとの説明でした。

また,取引容重は,関西地域で使用されている換算方法で,他地域になると,例えば 0.96 などその地域に応じた係数で除した値を採用する場合もあるそうです。

2009年6月 1日 (月)

『 月見草 』

ボンド,ベトン・ボンド。JASS5,軽量骨材についてです。
 現在,JIS A 5308  レディーミクストコンクリート と JIS Q 1011 改正に対応した 『社内規格』 を整備しています。
 その  「社内規格」  の整備は, 用語 の変更などの細かい部分までを対象にしていますので,「修正-印刷-点検」のサイクルを繰り返し実行しています。
 また,登録認証機関への届出書も平行して作成しているため,なかなか前に進みません。

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 さて,2週間ほど前,名古屋方面の方から電話が入りました。

 『 JASS5 で軽量コンクリート 1種の定義が変わったの知ってるか?
  実際のとこ,大阪では軽量 1種の出荷どうしてるんや!・・・        』

 『 ????? ・・・ 』

 『 なんやっ! JASS5 読んでへんのか。
    ええか,ポイントは2つ。
    ひとつは,軽量2種の定義や。
    これまでの2種は,粗骨材100%軽量やったやろ。
    けど,今度から2種は,普通骨材を混ぜてもよいことになったんや。
    その代わり,軽量1種の粗骨材は今までどおり,軽量骨材100%やで。
    それからもうひとつ,
    その軽量1種やけどな,気乾単位容積質量の範囲が改訂されてるでぇ。
    いままで1.7~2.1 t/m3やったんが,1.8~2.1m3 になったんや !!!・・・』

 『 ・・・そんなとこが改訂されてたんですねぇ 』

 『 呑気(のんき)なっやちゃなぁー。
    だからな,大阪の建築工事で軽量1種をどう扱ってるか聞いてるんやがな 』

 『 ・・・すいません。調べますんで時間もらえますか。 』

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 突然の電話で始まった軽量コンクリートですが,JASS5の2003年版と2009年版の違いを比較して見ましょう。
 まずは種類の比較です。
 表1 をご覧下さい。(見えにくい場合は,表をクリックしてください。)200906011  

 

 

 

 

 

 おやっ?
 軽量コンクリート2種の粗骨材は,主として人工軽量骨材とされていますから,普通骨材を混ぜてもよいのではないかと読み取れます。
 JIS A 5308:2009と比較すると,2種の粗骨材に普通骨材を混ぜた場合,JISマークを表示することができません。

 さて,次に気乾単位容積質量についてです。
 なお,JIS A 5308で軽量コンクリートの単位容積質量は,購入者と協議して指定を受ける事項であり,特に基準値を定めておりません。
 表2 をご覧下さい。

200906012  

 

 

 

 

 

 

 一般に気乾単位容積質量は,定義された推定式から推定値を求めます。

200906013  

 

 

 JASS5 :2009で軽量 1種は,あの“パッキャオ” のようにウェイト階級をアップしています。
 このため,単位セメント量が小さくなる調合,すなわち呼び強度 18 や 21 は 1.8 t/m3  を満足しないのではないかと考えられます。

 そこでAE減水剤使用の軽量1種について標準配合を確認したところ,推定気乾単位容積質量計算値が 1.8 を超えるのは,呼び強度 33 あたりからでした。
 この呼び強度の範囲では,推定気乾単位容積質量計算値が 1750~1820 kg/m3 でした。

 さて大変です。
 私たちの配合では, JASS5 :2009 の 軽量 1種に適合しないのではないかと考えられるからです。

 JASS5の間違いか?
 その願っていたところ,どうやら関東圏では呼び強度 18であっても 1.8t/m3 に適合するとのことでした。

 Why?・・・
 その答えは,使用している人工軽量骨材 の違いに原因がありました。
 関東圏では,日本メサライト工業株式会社 が製造している軽量骨材を使用しています。
 私たちの関西圏では,太平洋セメント株式会社が製造している軽量骨材を使用しています。
 両者の骨材の密度(絶乾状態)を比較すると,粗骨材は 「メサライトのほうが重く」 ,細骨材は 「アサノライトのほうが重たい」 ことが分かりました。

 軽量コンクリートの需要は,軽量 1種のほうが圧倒的に多いため,階級アップに対してはメサライトの方が有利です。
 しかし,残念ながらメサライトは関西圏で入手することができません。

 首都圏マターだけで基準が決定されたのではないかとの疑念もあり,怒りを感じますが,私たちなりに対策を立てる必要があります。

 調合を変更するという方法では,細骨材に密度の大きな 石灰石砕砂 や 高炉スラグ細骨材 を使用するという手段があります。
 しかし,供給の問題があり,これらの細骨材に変更できるかどうかは検討が必要になります。

 さて,もうひとつ。それは手品のからくりのような手法ですが,単位のマジックで何とか解決できるのではないでしょうか。

 推定気乾単位容積質量は単位が kg/m3です。
 一方,JASS5の種類では t/m3 を使用し,かつ,有効数字 2桁で表しています。

 この “からくり” を利用すると,推定値が 1750 kg/m3 は 1.8 t/m3 と表現することができます。

 説明責任が付きまといますが,実際の工事で施工者から指摘された場合,このからくりを利用したらよいのではないでしょうか?

 一昨年頃から,JASS5の改正は大変注目されていました。
 それは,コンクリートの乾燥収縮やヤング係数に基準が設定されると噂されていたからです。

 現在,楽天 野村監督 が現役時代,2500本安打を記録したときのインタビューで長島選手や王選手を “ひまわり” にたとえ,ご本人を “月見草”  に例えました。

 JASS5の改正では,乾燥収縮が長島選手であり,ヤング係数が王選手でした。
 そして軽量 1種は,まるで野村監督 のように密かに改訂されました。

 建築物の耐久性向上(長島選手)や高強度化(王選手)やのほか,軽量化(野村選手)も今後の重大な課題ではないでしょうか。

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                                  社内規格の整備で頭が混乱しています

                                       by ベトン・ボンド

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