2009年6月15日 (月)

『 暗黒面Ⅱ 思考停止 』

ボンド,ベトン・ボンド。

トゥルルッ・トゥルルッ【電話が鳴っています】

「はい。○○生コンですが。」
『明日の生コン,ポンプで打つのよ。
40㎜やとポンプ押せへんからね。悪いけど中身20㎜でお願いできる ? 』

「生コン納入書も20㎜になりますがいいですか ? 」
『えぇ ? こまるよ ! だって役所に通らへんもん。ほんじゃ,××生コンに頼むよ ! 』

ガチャン・ツー・ツー………

Aaah

      心の叫び1……<キャンセルかよ ! 庸車キャンセルできへんがな>
       心の叫び2……<応じてるんは,どのプラントや ! >

時折り(?)見かけるシーンです。
40㎜のコンクリートを打設しようとしていますから恐らく,土木工事でしょうね。

**************************************************************************************************************************************************************************あの地方のお話です。
皆さん,覚えていますか?(憂い地域格差無回答天佑 )
この地方にも,数名の賢人がおいでになり,賢人たちは「レディーミクストコンクリート納入書」の単位量記載に関して真っ向から勝負しようと画策しています。
そうです。
上記の電話が頻繁にかかる地方なのです。

先の賢人たちは,自体の元凶に立ち向かうべく,役所の土木工事を管理している部署に,粗骨材の最大寸法を40㎜から20㎜にしてもらえるよう,設計変更を訴えました。

応対した役所の担当者は,すました表情で冷たく答えたそうです。

「前例がありません。
  また,40㎜では圧送できない等の報告は1件も上がってません。
  従いまして,仕様を変更する理由がありません。                           」

長年,“ 施工のしやすさ ( あるいはしにくさ ) ” という課題についてどのように解決してきたのでしょうか?

電話の例のように私たち生コン会社が涙を呑み,怒りをこらえて対応してきました。
心ある施工会社の場合,役所に設計変更を申請する場合もありましたが,役所の裏技 “ 特例処置 ” 対応等で巧みに処理され,設計変更に至らないようです。

この裏技は,前例を認めないための手法で,次のように処理されるとのことです。
たとえば,最大寸法20㎜の生コンを使って工事を進め,工事完了間際に設計変更を申請します。
すると,設計変更するのに十分な工期がない等の理由から,本工事の生コンを特例として処理するのです。

つまり,仕様書が実態に即していないことを明確にするよりも,仕様書を守るためにダークサイドな手法がとられているようです。

生コンを使う場合, “ 打設する ” や “ 打込む ” と表現されますが,何故だかご存知ですか?
1900年代の生コンは,橋台や橋脚等の断面の大きな部材で無筋コンクリートとして利用されていました。
この時代の生コンは,非常に硬練りの生コンを木蛸等で叩きこんで施工していました。
叩きこんで施工していた名残りで,今でも “ 打設する ” や “ 打込む ” といった表現が使われています。

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写真 日本最古のコンクリートダム(布引五本松ダム 1900年)

現在,耐久性200年のコンクリート構造物を目指そうとしている次代です。
「五本松ダム」 のように108歳となっても,なお供用できるすばらしい コンクリート構造物 もありますが,お役人の方々は思考停止(意味のない前例の踏襲)を止め,前例のない事象や提案を積極的に検討し,仕様書を創り替える努力を心からお願いします。

私たち生コン会社は,型枠に生コンを納めるだけがシゴトではありません!
このシリーズは,もうあと一回継続します。
次は,私たち “ 生コン業界 ” のダークサイドを洗い流します。

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  今回は土木工事に関してと “ お役所 ” に対してでした。
                     by ベトン・ボンド

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