『 無回答 』
ボンド,ベトン・ボンド。
今週は,再び地方の話です。
その地方のある生コン会社(以下 B社とします)では,以前にお話した 『 技術提案型入札 』 に生コンを納入する予定です。
先週,技術提案をおこなった施工者が,そのB社に電話をかけます。
『 深層杭に低熱セメントを使うあの工事の件ですが,地盤から水が滲出するので,
水中コンに変更したいんですが。
配合変更を伴う場合は,もう一度,試験練りを段取りしてください。 』
この電話を,試験部門の責任者が対応しました。
『 &#£¢☆ よくわかりませんので,また電話します。 』
この方は,何十年と生コンの品質管理に携わり,会社を支えてきたはず ・・・でした。
慌てふためいたこの責任者,色々な方面に電話をかけて,どのような配合になるのかの助言を依頼しました。
残念ながら,この試験責任者は,明確な回答を得ることができませんでした。
さて,皆さん,このような状況になったらどのような行動を取りますか。
施工者の電話のポイントは,
1. 低熱セメントを使用する工事で,
2. すでに試験練りで配合を決定しているが,
3. この配合を水中コンクリートに転用できるか ということです。
この技術提案工事は,公共工事(道路関係)のため,使用するコンクリートは,土木学会標準示方書が基準になると思われます。
このB社は,全国生コンクリート工業組合統一監査の合格工場ですから,2008年度版標準示方書は保有しているハズです。
試験責任者のとるべき行動を以下に示します。
① 土木学会標準示方書で,水中コンの基準を調べ,配合の条件を確認する。
② 試験練りで決定した配合を標準示方書,水中コンの条件と照合する。
③ 条件を満たさない場合,施工者に再試験練りを提案する。
一般に,水中コンは特殊であり,頻度の高い工事ではありません。
技術提案で,低熱セメントを使用することが必須ですが,この事例は過去に見つかりません。
ところが,新たな配合設計をするための試験練りが必要ですから,その段取りもしなければなりません。
タイトルから想像がつくかもしれませんが,B社の責任者は, 『 わかりません 』 の一点張りを通しました。
火事は黙っていれば,消防車が駆けつけて火を消してくれるわけではありません。
この結果,B社の信用は失墜しつつあります。
一方,B社の試験責任者は,長年品質管理業務に携わってきましたが,折衝を行ってきたかどうかは大変疑問です。
生コン業界では,集約化の動きが強まりつつあります。
生き残るためには,技術者だけに関わらず折衝力を磨く必要があります。
さて,グループHiRACの皆さん,レコンキスタ活動の原稿を作成していますか?
これは,私たちの折衝力を磨くためのプロジェクトでもあります。
原稿の送付を待っています。
コンクリートの信用回復に向かって出航する日が近くまで来ています。
by ベトン・ボンド