『 改正 』
ボンド,ベトン・ボンド。
私たちの携わる生コンは,工業製品に分類されます(生コン会社は運送会社ではありません)。
工業製品である生コンを製造するためには,工業標準化法に基づいて制定されたJIS(日本工業規格)を遵守しなければなりません。
生コンクリートの日本工業規格 : JIS A 5308 レディーミクストコンクリート
来年3月,生コンのJISが改正される予定です。
この改正に関しては,今年度初頭から改正原案の情報や動向が,コンクリート工業新聞等 で内容が紹介されました。
これらの情報から,改正内容を要約すると,今回の規格改正のテーマは,透明性と廃棄物の有効利用と思われます。
生コンは,異なる性質を持つ多数の材料を練り混ぜて,スタンダードな(あるいは均質な)品質を付与させた製品です。
また,フレッシュなときと,固まったあとにそれぞれ要求される品質が異なります。
このため,製品として出荷するときには,要求されるすべての品質が確認できないという特性があります。
また,生コンは,要求される強度や,施工性から決定するスランプ等の組み合わせから製品のラインナップが多数存在します。
これらの製品は,それぞれ独自の材料割合で決定されていますが,一般にその違いは,ミキサ車から流れ落ちる生コンの見た目では分かりません。
このため,生コンを納入する前に,使用材料の種類および材料割合を示した “ 配合報告書 ” を購入者に提示しなければなりません。
昨年の流行語の中には,“ 食品偽装 ”という言葉がトップ10入りしています。
この “ 偽装 ” という言葉は,建築業界では構造設計の世界でも既に使用されていました。
今,生コンについてもその透明性を向上させるという目的から,新しい規格では生コンの受領書に,各材料の単位量を記入することが規定されようとしています。
先ほど,生コンは製品の種類毎に材料の使用割合が異なると説明しました。
生コン製造は,各材料の質量を計量器で量って練り混ぜます。
量るという行為には,誤差が付きまといますから,生コンのJISは,計量誤差が工程の管理項目として規定されています。
一方,受領書に記載する単位量を,材料計量値から換算した値とする場合も,材料の計量誤差が適用される模様です。
近年,環境はクローズアップされた問題です。
生コン工場では,主に製造設備を洗浄する際に発生する,材料残渣(生コンスラッジ)がこれに該当します。
生コンJIS改正案では,スラッジ水は呼び強度36 までであれば購入者に断ることなく使用できるようになりました。
しかし,スラッジ水を使用する生コン工場は,これまでの管理加えて,大変ややこしい『スラッジ水の管理』をしなければならなくなります(試験係だけでは管理できませんよ!)。
現在,生コンJIS改正についてパブリックコメントを受け付けている最中です。
生コンJIS改正の原案情報について生コンJIS工場は,月刊誌や関連新分類あるいは工業組合から入手していると思われます。
日本工業標準調査会
意見受付公告(JIS)規格情報
はたして,新しい規格は本当に必要な事項が,標準化されているのでしょうか?
この規格の整備は,製造する生コン工場の意見をもっと取り入れる必要があるのではないでしょうか?
今年6月に発生したM社の事件は,私たちの業界に大きな暗い影を落としています。
私たちは, “ 自律 ” を確立しなければなりません。
寒い季節になりました。紅葉の季節です。
by ベトン・ボンド