『 健忘 』
ボンド,ベトン・ボンド。
なんて言いながら,いつもの調子は出ません。
まずはお詫びします。
『 民営化 』の最後では,あの特殊法人について再度レポートしますといったメッセージでくくっていました。
一方,あの記事を書いていたのが 盆休み前であったことと, 盆休みをこころゆくまで満喫したためか,『 終夏 』を書き終えるまですっかり忘れていました。
普段,子供には“ウソつきはドロボウの始まり” と諭していますが,言った本人が一番怪しかったようです。
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さて,元公団の▲験課の話の続きです。
前回は,「吹きつけコンクリートの配合作成」でしたが,今回は「通常のコンクリートの配合作成」です。
ひとつの配合を作成するための手順は以下の通りです。
1. 試験練り用に準備された骨材の確認(表乾状態,粒度分布)
2. 配合設計値の確認(目標スランプ・空気量,目標強度値の検証)
3. フレッシュ状態の最適な単位水量・s/aの決定
4. C/W-σ 関係式,水セメント比の決定
それでは,順番にご説明します。
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1. 試験練り用に準備された骨材の確認 | ||
ここでは,次の試験により準備した骨材を評価します。 | ||
細骨材: | ① フローコーンによる表乾状態確認 | |
② JIS A 1111 『 細骨材の表面水率試験 』 | ||
③ JIS A 1102 『 骨材のふるい分け試験 』 | ||
粗骨材: | ① 目視による表乾状態の確認 | |
② JIS A 1102 『 骨材のふるい分け試験 』 |
細骨材表乾状態の評価は,フローコーンとチャップマンフラスコで表面水率を測定します。 さて,砕砂を使用する場合に何か疑問が湧きませんか? 細骨材のふるい分け試験を実施すると,ふるい目に粒が詰まりやすくなる寸法のふるいがでてきます。 また,細骨材では 5㎜ふるいに留まる粒(5㎜オーバー)がある場合,粗骨材では 5㎜ふるいを通過する粒(5㎜アンダー)がある場合には,試料の再調整が必要となるますので,これまた注意が必要です。 砕石を使用する場合,砕石1505は 5㎜ふるいでふるって試験練り用としますが,砕石2010について同様で,この作業を怠って試料再調整となる生コン会社がありますのでまたまた,注意が必要です。 天然砂と砕砂や砕石2010と1505等,骨材を混合して使用する場合,細骨材と粗骨材のそれぞれの混合比率は,ふるい分け試験結果から決定します。 この混合比率は,生コン打設の都度,事前に工場でふるい分け試験を行って適正な比率にしなければなりません。 さらに, 5㎜アンダーと 5㎜オーバーについても補正しなければなりません。 生コン会社の大半は,この過大粒・過小粒の補正を行っていませんが,これは “かさ容積法” という配合設計方法を採用しているためです。 |
2. 配合設計値の確認(目標スランプ・空気量,目標強度値の検証) | |
これは,書面の確認です。 |
3. フレッシュ状態の最適な単位水量・s/aの決定 | |
ここから,試験練り作業を開始します。 JIS標準配合の単位水量やs/aは,所定の品質(特にスランプ)を保証するためにかなり安全に設計されています。 暫定配合の提示では,あらかじめ試験練りをおこない安全に設計された部分を削減しておく必要があります。 民営化されたとはいえ▲験課は,程度はともかく “ガサコン” を好みます。 さて,▲験課立会試験では,目標スランプが得られる単位水量を決定し,練りあがった生コンの状態(スランプ値,形等)から中心配合の最適 s/a候補をさがします。 中心配合について最適な単位水量と s/aが確立すると,その単位水量を固定して中心配合の s/a候補値から ± 3% 生コンの状態を確認して最適 s/aを決定します。 JIS A 1101 によるスランプ試験は,スランプ値は 0.5㎝単位としています。 |
s/a候補値から ±3%をおこなうと, 図をご覧下さい。 |
民営化前は,この試験結果に基づき有無を言わさず,最適s/aを 39%としていましたが,民営化後は,曲線からだけでなく施工者の意見も聞きながら,妥当なs/aを決定しているようです。 4. C/W-σ 関係式,水セメント比の決定 最適s/aが決定すると,暫定値と差がない場合でも,再度中心配合を試験練りして,再現したフレッシュコンクリートの性状が所定の品質にあるか確認します。 この再現試験で,フレッシュ性状が所定の品質であると,供試体を採取します。 次にC/W-σ 関係式を作成するために水セメント比を ±5%とします。 目標強度(配合強度)に対して 10%を超える場合は,C/W-σ 関係式から適正な水セメント比に変更しなければなりません。 強度はともかくとして,最適 s/a や単位水量をスムーズに決定するためには,準備している細骨材と粗骨材を如何に均質にしておくかが重要となります。 配合決定のための試験練り手順を纏めると以下のフローとなります。 |
実際の出荷を考えるとき,生コンの配合設計は以下の理由で,JISコン のように過剰な安全を見込んでいるほうが合理的であると思います。 | ||
① | 骨材は分離しやすい(1m程度の高さから落下するだけでも分離すると言われている)。 | |
② | ゆえにサイロやストックヤードで保管された骨材を均質に保つことは不可能。 | |
③ | 標準配合は,必ず所定の品質が得られるのではなく,所定品質が得られやすい配合。 |
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『健忘』を払拭するために,今回も !? 力を込めました。
多少偏見が加わっていますが,
何かの参考になれば幸いです。
by ベトン・ボンド