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2009年8月

2009年8月24日 (月)

『 終夏 』

お盆を過ぎると暑さは弱まるといわれていますが,今年はまさにその通りで夏が終わろうとしています。
盆休みが明けて,朝晩が涼しくなってきたことやセミの声が遠くに感じてきたことから夏の終わりを感じます。

日本は,春夏秋冬とすべての季節を味わうことができます。
いずれの季節も始まりと終わりがありますが,ボンドは “夏の終わり” が最も嫌いです。

なぜなら草木が急速に減退し,セミ等に代表される賑やかな虫達が息を潜めることから, “宴の終焉” あるいは, “祭りのあと” のようなさびしくて虚しい気分にさせられるからです。

関西では春と秋が短いために,夏と冬の2つしか季節がないように思えるときさえもあります。

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 晩夏残照(フォト蔵) 

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さて,1ヶ月ほど前の 7月20日のことですが,JIS 表示認証の根幹となる規格のひとつ である
『 JIS Q 1001 適合性評価-日本工業規格への適合性の認証-一般認証指針 』 が改正されました。
この JIS Q1001 は,現行の JIS 制度が始まる直前の平成17年8月20日に制定されました。

旧JIS制度は,製品規格としての JIS規格はあるものの 「JISマーク表示制度のない工業製品」 (JISマーク表示したくてもできない製品)が指定品目として規定されていました。

現行のJISは,指定品目が解消され,製品規格のある工業製品は,JIS認証取得の審査を受けることと,登録認証機関との契約に基づいて JISマークを表示できるようになりました。

従って,現行JIS制度への移行に伴い,指定品目毎に存在した 『個別審査事項』 は廃止となりました。

ところが,生コンやコンクリート二次製品は,住居や社会資本整備などに使用され,ヒトの生命にかかわる重要な材料との位置付けから,個別審査事項(レディーミクストコンクリートとプレキャストコンクリート)が JIS化されました。

JIS表示認証工場,そして恐らくは登録認証機関にとっても,個別審査事項が JIS化されているほうが便利です。
なぜなら,これらの規格は JIS工場として何をしなければならないかを具体的に定めているからです。

逆の例ですが,家屋のプロパンガス設置場所などに使用される 「建築コンクリート用ブロック」 は,現行の制度では生コンでいう JIS Q 1011 に相当する規格が存在しません。

たとえば,生コンの場合,JIS Q 1011 の製造工程の管理で細骨材の表面水率の測定頻度は,2回以上/日と規定されています。

一方,分野別認証指針が存在しない場合,製品の管理・原材料の管理・製造工程の管理等の管理項目や方法等について,申請工場が考えなければなりません。

20090824  これは大変大変困難な作業です。
 それでは,建築コンクリート用ブロックの JISを取得している企業は
 どのようにしているかというと,かつての個別審査事項に準拠して
 社内規格を編成しています。

現在,分野別認証指針は,生コン,プレキャストコンクリート製品及び鉄鋼製品第一部の3つしかありません。

JISマーク認証      適合性評価―日本工業規格への適合性の認証―
  JIS Q 1001 :2009      一般認証指針
  JIS Q 1011 :2009      分野別認証指針(レディーミクストコンクリート)
  JIS Q 1012 :2009      分野別認証指針(プレキャストコンクリート製品)
  JIS Q 1013 :2005      分野別認証指針(鉄鋼製品第1部)

少し回り道をしました。
次の理由から,JIS Q 1001 の改正によって,「社内規格」 を改訂する必要はありません。
   ● 表現の修正や文章の一部追加などで軽微なこと
   ● 生コンの認証指針は JIS Q 1011 によること

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生コン出荷の激しい減少のダメージを受けたためか,最近このコーナーが業界再建と共に信頼回復への想いのあまり,精神論的なタッチになりがちではないかと心配しています。
そのあたりを何とか解消しようとしたために,纏まりの悪い文章に仕上がってしまいました。

次回は,『 民営化 』 (7月30日)でお約束していた,旧D公団が民営化した N社の「試験練り」についてお話ししたいと考えています。
そのあとは,社内規格の編成の仕方について,自由気ままにウンチクを述べる予定です。

                    残暑や季節の変わり目ですからお体を大切に。
                    そして,お互いインフルエンザの感染に注意しましょう!
                              by ベトン・ボンド

2009年8月12日 (水)

『 超克 』

ボンド,ベトン・ボンド。
コンクリート工事の激減が継続し,各地の生コン協同組合は,工場数を減らす施策を模索していると伺います。

こんな最中,JIS表示認証の取下げ処分を受けた生コン工場が増えている様子です。
処分は,何度もこのコーナーに登場したM社(1年前)を筆頭にして,長崎県 ・ 東京都 ・ 長野県 ・ 神奈川県で連続しています。

取り下げ処分に至ったのは,臨時認証審査や立入検査の結果,管理書類等の改ざんや,各種試験をJISで定める頻度で試験を実施していないなどが発覚したからだそうです。

このうち,“ 管理書類等の改ざん ” の発覚については大変な疑問があります。
約1年前の 『 性善説・性悪説 』 で,JIS認証審査は性善説に基づいて実施されているということを紹介しました。

例えば,国税局の立入検査はその企業が脱税しているかどうかを判断することが目的ですから,企業の経理関係書類を疑って検査すると聞いたことがあります。

しかし,JIS工場に対して実施される臨時認証審査や立入検査は,JIS表示認証取得者がJISの要求事項に適合しているかどうかを判断するための行為です。
このため, “ 管理書類の改ざん ” が発覚するケースは大変めずらしいのです。

過去の事例では,旧JIS制度のころ,ある工場が公示検査だったと記憶していますが,圧縮強度管理図で “改ざん” が発覚したことがあります。

200908121発覚した理由は,ある呼び強度の最新の管理図が,3回前の管理図と全く同じだったためです。

この工場は,この行為を顕著に受け止めましたが,再起を図るのは大変困難であったようです。

ちなみに,この会社は関西地区ではありません。

3回前の管理図と最新の管理図が全く同じであったのは,当時の生コン出荷が大変な旺盛であり,管理書類の整備にかける時間がなく,過去の管理図を再度使用したとのことでした。

ときの通商産業局の担当者の言葉です。
『あのねぇ……,事情は理解しますけど,お宅の書類は何一つ信用しませんよ。
 つまり,残された記録類はすべて信用できませんから!』
この生コン工場は,社長が顛末書を作成して事態収拾をはかりましたが,JISマーク表示一時停止処分を受けたと聞いています。

一方,先のJIS取下げ処分となった生コン工場が立入検査に至ったのは,どうやら元社員の内部告発らしいと伺いました。

これから想像すると,辞退が発生した経緯は概ね次の通りではないでしょうか。

生コン出荷量は減少傾向 が加速し,下げ止まりの感がありません。

生コン出荷量がどんどん減っていますから,会社経営上固定費の削減を行う必要があります。
そこで,長年勤めてきた “あの人” に白羽の矢が立ちます。
感覚の古いオーナであるとなおさらです。
“そういえば,あいつ,生コンの出荷が急がしかったときも生コン車運転もせず,現場に行くわけでもなく机に座ってパソコン見てたな。引退してもらおか”

あの人は,涼しい顔で聞いていましたが,内心は炎が赤々と燃えています。

“ 誰もせえへんかった記録を整備し,工場を守ってきたんや !
  それを不要扱いしやがって。目にモノいわしたる。”

炎は黒い煙をあげながら, “タレコミ” へと発展してゆきます。

長年,工場を守ってきた “あの人” の行為は感情的には理解できますが, “タレコミ” は残念ながら自己否定です。
それは,改ざん作業をおこなった張本人だからです。

現在,生コン出荷量はオイルショック時まで減少しています。
土木・建築業界は,公共事業の発注により,国や政治から仕事を保証され,インフラ整備や雇用確保対策として貢献してきました。

ところが,少子化により将来の財源が心配されるようになると,保全費用の問題もあり,税金を公共事業に投資しなくなってきました。

私たちの業界は,従来の形では存続しにくくなってきており,従来の仕組みを変えるようなアイデアが必要になっています。

そのアイデアを導けるかどうか分かりませんが,“チームワーク” がキーワードとなるのではないでしょうか。

危機艱難を乗り切るのは,特定のヒーローが実施するのではありません。
やはり,組織力が重要なのではないでしょうか。

7月下旬,ある研修会に参加しました。
その研修会で “チームワークがとれている状態” とは,「メンバーが方針(目標)を共有していること」と定義していました。
つまり,メンバーが気心知れている仲の良い状態を指すのではなく,同じ目標に向かって心を合わせていることとしています。
それはまるで,円錐を指すのではないでしょうか。
底面の円が個々のメンバーです。その頂点には共通の方針があります。

200908122かつて,私たち HiRAC が創ったカヌーは,すべて完走し,体力・知力とも勝る学生達を相手に上位入賞をはたしました。
チームワークの勝利でした。

今度の相手は,現在置かれている諸環境です。
新しい仕組みを創造してゆきましょう。
先日,子供とポケモンの映画を観に行きました。
その映画のタイトルのなかに“超克”という文字がありました。

“ 超克 ”とは, 『 困難や苦しみにうちかち,それを乗りこえること 』 という意味だそうです。
まさに私たちの今の状況を表すぴったりの文字です。

200908123  今週から,お盆休みとなります。
 お盆を明けると,
 暑くても残暑というように夏が弱まります。
 今年は,梅雨が長かったせいか夏が短く感じます。
 皆さん,お休みを満喫してください。
                by ベトン・ボンド

2009年8月11日 (火)

阪神高速道路神戸山手線に納入

8月11日,兵庫大阪では 「阪神高速道路山手線」 にコンクリートを納入,問題なく終了しました。

神戸山手線」 は 「神戸市道高速道路2号線 」 と呼ばれ,神戸ラダーネットワーク の一部を構成し,交通の分散化・円滑化や,災害時等の代替機能の充実とともに,開発の進む神戸市北西部地域と神戸都心とのアクセスを強化し,慢性的な渋滞が発生している一般道路の混雑緩和を図るためと, 「阪神高速道路株式会社」 のホームページで説明されています。

7月22日,時間規制の中で 1,000m3 を超えるコンクリートを打設した 「新湊川第1工区開削トンネル工事」 とは違って,今日は 2社で 約 2,000m3 を時間の規制なく打設するとの計画でした。

この打設で,兵庫大阪が関わる 「神戸山手線」 の大規模打設はほぼ終了したことになります。

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 神戸山手線(南伸部)イメージ図

 

台風の影響もなく,まわりから聞こえるセミの声を合図として,予定時刻に打設が開始しました。

ミーティングから始まる兵庫大阪の製造プロセスを経て納入されたコンクリートが,受入検査で,次々 「 合格 」 とされていきます。

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 打設開始

 

1台目と100m3 毎のスランプ,空気量,コンクリート温度,単位水量試験,テストピース採取

1台目から5台目までと,以後5台目毎のスランプ試験

その他,午前・午後開始時の塩化物量含有量試験などの試験が行われますが,

打設ピッチが速くなると,休むことなく作業を続けることになります。

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 単位水量測定 

 

平成15年10月2日付けで 「レディーミクストコンクリートの品質確保について」 が国土交通省より通知されました。
これにより,1日のコンクリート打設量が 100m3 以上の工事では,フレッシュコンクリートの単位水量を測定することになりました。 

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平成16年4月30日から始められ,兵庫大阪社も参加した, 阪神高速道路公団による「単位水量測定機種選定実験」では,次の5つの測定方法が試されました。

① 単位容積質量法(エアメーター法)
② 中性子水分計(バッチ式)
③ 中性子水分計(連続式)
④ 高周波加熱乾燥法(電子レンジ法)
⑤ 静電容量法(高周波容量法)

この工区では,5番目の測定方法が採用されています。

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神戸山手線連結路(北行)開削トンネル工事
函体工 本線合流部頂版
配合: 30-8-20 L

記録写真用に黒板に記入された,打設内容です。

「南行」函体の鉄筋が,組み合わされているため,鉄筋量が多く打設に手間取ります。

カラーコーンを逆さにしたものを細工してサニーホースをつけ,鉄筋のすき間に差し込んでコンクリートを丹念に流し込んでいきます。

スランプも8㎝のため,各作業員が何度もバイブレータで締め固めに汗を流していました。

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 5台ごとの試験は,疲れるな~ 

 

一人ひとりの活動が,知恵となって身についていくことを期待しています。

2009年8月 2日 (日)

ファイナルアンサー

雨の予報を裏切って,今日は夏色の空。

神戸空港の滑走路を眺めながら,かき氷を食べている。

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目の前に拡がる大阪湾,そこは,モヤにかすみながらも生駒山系から臨海工業地帯 関西空港連絡橋関西国際空港,さらには淡路島 へと,久しぶりに輝く太陽のもとで,一大 パノラマを描いている。

建ち並ぶ高層ビルや湾岸を貫く高速道路,白い波を引きながら行き交う船。

人々が自然の中につくり上げてきた風景。

歴史の中で磨き上げられてきた景色に壮大な志や計画が見えてくる。

しかし,すべてに意味があったのだろうか?

ひと月に出発 22便,到着 23便合わせて 55便。

神戸地区の発展のために,市営空港として 2006年 2月16日開港されたが,ターミナルビルに立ってみて,いささか寂しい。

結果論,想定外・・・。   果たして,そうなのか?

これらの計画に希望は感じるが,人の知恵は見あたらない。

兵庫大阪社もこのような工事によって,生き延びてきた。

実のところ,今日は兵庫大阪社が関わってきた,地図に残る産物を見たくてやってきた。

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神戸空港にはポートアイランドを通って神戸スカイブリッジという空港連絡橋を渡ることになる。

ポートアイランドは六甲アイランドと並ぶ人工島である。

ポートアイランドを一回りしながら,聞き慣れた大型倉庫や学校,次世代コンピュータ施設を見たが,廻りの敷地には建物が建つ気配はない。

しかし,これは神戸地区に限ったことではなく,大阪の臨海地区でも同様である。

生コン工業組合連合会から平成21年6月23日発表された,
生コンクリート産業の構造改革の基本方針(案)」に構造改善事業の目標として,平成22年4月から 平成27年3月までの 5年間で,共同廃棄による工場削減を平成21年3月現在の3,911工場の30%にあたる1,200工場(1,173工場)と明記している。

このことから,協同組合や各企業は一層,生き残りをかけての様々な取り組みを計画し,確実に実行に移すことになる。

Group HiRAC の諸君

それぞれの協同組合で実施された集約化を除き,今までに3回の構造改善事業が行われてきたが,今回の取り組みが1番厳しいものになると想像している。

我々の業界が,また我々の組織がどのような航路を進むのかを見極め, 自らの守るべき者を守るために,惑わされない冷静な判断と的確な行動を取ろうではないか!

数年後,本当の評価が下される。

 

昨日行われた, 「みなとこうべ海上花火大会」 の写真が届いた。

業界再建のための計画が,闇に消えゆく打上げ花火ではなく,若い人々がモノづくりの喜びを感じることのできる灯りとなるよう,作成されるリーダーの方々にお願いしたい。

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History will give us the final answer.

                  フーテンの熊

     Unicef

     

     Kataru2

     Kataru2

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