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2008年7月

2008年7月27日 (日)

『 懐古 』

ボンド,ベトン・ボンド。
2週にわたり,重い話題が続きました。
M社とM社が出荷した生コンの処置については,時間経過を待たなければなりません。          藤沢市/記者会見
機会や動きがあった場合,このページを借りて報告します。

先週,5年ぶりに故郷に帰省したことを報告しました。
これからも分かるように,ボンドは地方出身者(イナカ者)です。

若い頃,都会に憧れており,現在は,夢かなって大阪府で暮らしています。
一方,ボンドには変な思い込みがあります。
地方出身者は, “GW” , “お盆” や “年末” 等の長期休みには,帰省して過ごす方が多いと思います。
しかし,ボンドは,帰省することは “都会に負けて故郷に逃げ込む” ようなイメージがするため,帰省が好きではありませんでした。

このように記述すると, “両親と断絶か?” や “両親は他界しているのか” 等と思われるかもしれませんが,そうではありません。
ボンドの両親は健在ですし,5年も帰省しなかったのは,子供が生まれたり,子供が小さかったため,長距離の移動が困難であったことが理由です。
また, “あの生まれた娘を両親に見せていなかったのか” と言う方もいらっしゃるかも知れませんが,ボンドの両親は,事あるたびに会いにきてくれていました。

さて,今回の帰省のお話です。
子供の頃に通った小学校に,長男と一緒に散歩に行きました。
グランドや校舎等の建物は,昔とほとんど変わっていませんでした (耐震性能は大丈夫か? 笑)が,にわとり小屋がなくなっていました。
夏休みのせいか,その小学校に来ているのは町内の老人ばかりでした。
隣の第二小学校も散歩に行きました。
子供の頃,第二小学校は非常に遠くに感じましたが,現在歩いてみると,それほど遠く感じませんでした。
小学校までの距離に限らず,街全体が昔に比べて小さくなった気がします(だから田舎なのかもしれません)。

よく遊んだあの友達の家は,かつてと違う苗字の表札が掛かっています。
また,ボンドの実家のベランダからは,頂きにお城の乗った山が見えましたが,今は隣の家の屋根しか見えません。
夜に満月を仰いだあの窓は,隣の家の部屋の明かりが注いでいます。
なお,最も実家で生活していたのが20年前ですから,内装はリフォームされていて昔の面影はとっくに消えています。

変わっていないのが一つだけあります。
それは,“おばあちゃん” と “おばあちゃんの家” でした(ボンドの息子と娘は “ひ孫” になります!!)。
ただし,おばあちゃんの家の “土壁” には大きなクラックが入っていました(大正時代に建てた家だそうです)。

さて,この記事を読む頃には,コンクリート診断士試験が終了していると思います。
この試験は, “コンクリート構造物を造る時代から,維持管理していく時代に入った” とする概念に基づいています。
コンクリート構造物には,住居等の民間構造物と,道路や港湾関係の公共構造物があります。

先の“ おばあちゃんの家 ”は,補修や補強を施すことで,建物の価値は上がるのでしょうか?( きっと,上がらないでしょう )
“築10年のマンションと,新築マンションで値段が同じならどちらを選びますか?” と問われたら,新築と答える方が多いのではないでしょうか。

建物の維持管理は重要でしょうが,こと “住居(マンションも含む)” に関して,日本は長年供用したことが,資産価値に反映していません。
一方,ヨーロッパでは,長く供用したマンションは,その実績が評価され資産価値が向上するといわれています。
確かに,公共構造物については “維持” することは地方財政の観点から重要です。
維持管理が本当に重要視されるには,まだ時間が掛かるのかもしれません。

冬生れのボンドは,暑中がとっても苦手です。 -ベトン・ボンド-

チームプレー

なにげなくつけたテレビが,
第90回全国高校野球選手権記念南大阪大会決勝戦の模様を伝えていました。
9回裏6:5 1アウト満塁一打逆転・・・。
強豪校同士の闘いです。
どちらを応援するでもなく,はじめは本を読みながら耳で見ていました。
同点,延長,また同点。
接戦です。
最後は,2塁手の悪送球で決着がつきました。
7:8のサヨナラゲーム
ピッチャーマウンドに集まり人差し指を天にかかげる選手達,
顔をどろどろにしながら泣き崩れている選手達。
いつも通りの風景ですが,キャプテン達のインタビューを聞きながら,
何か違うものを感じていました。

勝って得た自信
負けたからこそ背負う後悔

もう一度戦ったら・・・
でも,この試合が,
この試合の結果が重要なんですね。

もう一度戦ったら・・・
絶対勝てるとは思っていないんですね。

ピッチャーは,みんなに迷惑をかけないようにと,走り込み
みんなは,打たれた球を捕ってやると練習をしてきたことでしょう。
それぞれが,それぞれのやり遂げてきたことを,
お互い認め合わなければ他のチームと戦えないですね。

チームプレーとスタンドプレー
プロフェッショナルとアマチュア

私たちのグループとダブってきました。

『相手の分まで,甲子園で頑張ってきます!』
勝者のみに許される言葉です。

暑い毎日
もう少し涼しくなれば ・・・

2008年7月26日 (土)

第8回技術連絡会の講師から,メンバーへのメッセージが届きました。

Sohla1    人工衛星プロジェクト   ~本命ミッションは人づくり!~
    (東大阪宇宙開発協同組合<SOHLA> 専務理事 棚橋秀行氏)

Sohla3

中小企業があつまり、
「夢を打ち上げよう」を合言葉にスタートした
東大阪の人工衛星プロジェクト。

その裏には、不況にあえぐ東大阪を、
若者の集まる元気な町にしたいという夢がありました。
しかし、「夢」を掲げるだけでは何も進みません。
プロジェクトが具体的に進むにつれ、
さまざまな問題が表面化し、去る者あり、残る者ありと、
幾度か危機に直面したこともありました。

そして、ここに残ってプロジェクトを推進していたのは、
情熱いっぱいの若い技術者たちと、彼らを見守る中小企業の社長たちでした。
情熱と純粋さゆえに傷つき、それでも泣きながらコブシを振り上げる若者と共に、
生まれ変わろうと悪戦苦闘してきた今日までを講演いたします。

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第8回技術連絡会について

第8回技術連絡会の開催についてご案内いたします。

 開催月日:   2008年9月6日(土)   9:00 ~ 13:30

 開催場所:   クリエイションコア東大阪(研修会場)    アクセス

 発表予定:
                   1.高強度コンクリートの大臣認定について            (小川技術課長 堺臨海)
                       2. 住友大阪技術連絡会の発表内容                   (藤野技術課長 兵庫大阪)
                       3. レコンキスタ-コンクリートの信頼回復に向けて  (ベトン・ボンド)
                       4. 『 人工衛星プロジェクト~本命ミッションは人づくり!~ 』 
                                      (東大阪宇宙開発協同組合<SOHLA> 専務理事 棚橋秀行氏)

今回は,開催場所が,“ものづくりのマチ”である東大阪となっています。
クリエイションコア東大阪は,15大学1高専が入居しており,産学連携のためのさまざまな支援体制が整っている施設です。
詳しくは,改めて連絡しますので,9月6日(土)は全員参加できるよう準備しておいてください。

2008年7月21日 (月)

『 性善説 ・ 性悪説 』

ボンド,ベトン・ボンド。
今週も,M社が起こした,“ 生コン版偽装事件 ” のお話が続きます。
先週に引続き,“ 巷のうわさ ” も交えながら(公式の発表でない事をご理解下さい)続けます。

まずは,最近の動向からです。
 ・M社の溶融スラグを使用したコンクリートによる建築物は,建築基準法違反とされた。
            記者発表資料(鎌倉市 2008.7.14)
 ・茅ヶ崎市は,M社問題連絡調整会議を設置した。
            記者発表(茅ヶ崎市 2008.7.14)
 ・R社は,M社に溶融スラグを無料で供給していた模様。
 ・R社は,M社以外にも溶融スラグを提供した模様。
            カナロコ(神奈川新聞 2008.7.10)

ディベロッパーは,M社に対して “ 該当マンションを全棟買い取れ ” や “ コンクリートを打設したフロアーを買い取れ ” などと申し入れしている様子です。
M社の社長は,別の生コン会社をもう一社経営しています。
うわさによると,その一社もコンクリートのオーダーが激減しているとの事でした。
この最中,違法マンション物件を買取るなどの処置は,M社でも関係会社であっても “ お金 ” の問題から不可能と思われます。

また,ディベロッパーは裁判に訴えるやもしれません。
そうなると我々が一番知りたい “ 真実 ” は闇の中になってしまいます。
知りたい真実とは何か?
それは,M社が,溶融スラグを使用するようになった経緯です。
具体的には,社長あるいは経営陣はどのような方針を示し,どのように溶融スラグに到達して出荷するに至ったのかという事です。
新聞等では,生産管理部長の独断で使用に至ったと報道されています。
M社謝罪会見上,社長は 『 原材料と品質管理は,常務と部長に任せきりだった。 』 と言っています。

巷では,M社が存在する地域の生コンは,過当競争地区であり,生コン単価が 9,000円/m3 を下回っていたという噂があります。
また,昨今の原油高騰による原材料の運搬費や生コン車の燃料費が上昇等を考慮すると,出荷量に見合う利益があったのか疑問があります。
生産管理部長の言動では,溶融スラグ使用により 1,000万円程の利益がでたとの事でした。
恐らく,経営陣からは生コン原価対策を行うよう指示をしていたのではないでしょうか。
しかし,経営陣は違法行為を伴う対策の実施は望んでいなかったように思います。
また,使用を判断した部長や,溶融スラグを供給したR社は,溶融スラグがポップアウトを起こすとの認識を持っていなかったと思います。

次に “ 溶融スラグ ” についてです。
諸悪の根源となった材料ですが,先週もお話したように,材料としてはJISとして規格化されています。       JIS A 5031:2006
この規格の適用範囲には, 「 呼び強度 33 以下のレディーミクストコンクリートに適用できる 」 とはっきり記載されています。
なお,肝心の生コンの規格(JIS A 5308)では,溶融スラグを使用材料として認めていません。
近い将来,溶融スラグは生コンの材料として使用できるようになるのかもしれません。

今回,M社のJIS表示認証が取消されたのは,ポップアウトが原因ではありません。
配合報告書に記載した材料を使わずに生コンを製造し,かつ,それにJISマークを表示したことが原因です。
JIS表示認証は,取得した企業は対象となる工業製品にJISマークを表示できる権利ができるという制度です。
JISマークの表示は,ある一定の不良率以下となるように管理された工業製品であることを象徴しています。
このため,企業が自社製品にJISマークを表示するためには,その企業が十分な能力を有しているかどうかについて,企業の体制や生産製品が基準等に適合しているかどうかの審査が行われます。
制度は多少異なりますが,国土交通省大臣認定を取得するのも同様です。

JIS表示認定や国土交通省大臣認定の審査は,性善説に基づいて実施されています。
今回M社は,溶融スラグを配合報告書に記載することなく使用しました。
一般にコンクリート工事は,出荷に先立って,施工者立会のもとに試験練りが実施されます。
M社では,この試験練りは,配合報告書どおりの骨材を使用して実施していました。
結果,M社の配合報告書が “ ウソっぱち ” という事になり,JISや大臣認定を審査する立場になると,M社の品質管理はすべて信用できないと判断せざるを得なくなります。
また,性悪説の立場をとると,これらの審査を行うことが出来ません。
殺人の捜査のように,品質管理の裏付けを別の方法で検証しなければならなくなり,審査に大変な費用と日数がかかることになります。

今回M社の行為で最も重要なのは,この性善説を根底から崩してしまったことにあります。
一連の報道からは,生コンに何が混ぜられているか分からないというイメージを,一般の人々に植えつけてしまったのではないかと大変心配しています。
しかし,M社のような行為を行う生コン会社は,ごくまれであり,大半の生コン工場は規格や関係法令を健全に遵守しています。
なぜなら,ボンドが接してきた生コン会社で品質管理の責務を負う方達は,使用材料の変動を極端に嫌い,新しい骨材を使用する等について神経質な位慎重になる人が多いからです。
このため,M社生産管理部長が,実績が少なくコンクリートへの影響が十分に把握できていない未知の骨材を,他より先駆して(あるいは周辺の生コン会社に確認することなく)使用することを決断したことは信じられません。
これらのことから,生コンの信頼回復の努力をしなければなりません。

一方,生コン業界には,骨材の枯渇という問題を抱えています。
また,環境問題からごみや産業廃棄物を加工して骨材化した商品の開発を,自治体が中心となって研究しています。
さらに,土木・建築構造物は長期耐久性の確保を課題にしています。
ボンドは,これら3つの課題がお互いにバランスをとり,正三角形を描いてくれる事を願っています。

最後に HiRACの皆様へ
みなさんに未来から挑戦状が届いているようです。
それは,次の世代を担う高校生達からです。
さて,あの “ 暑い夏 ” が再び始まろうとしています。

5年ぶりに家族をつれて,故郷に帰省しました。
                                                                               -ベトン・ボンド-

2008年7月14日 (月)

『 破裂 』

ボンド,ベトン・ボンド。
今週は,私たち生コンクリート製造に携わる者にとって衝撃的な事件の報道が駆け巡りました。
そうです。あのM社が起こした,“生コン版偽装事件”です。六会コンクリート
問題の偽装事件を要約すると以下のとおりです。

・ M社が,ある期間に打設したコンクリートにポップアウトが発生した。
・ ポップアウトが発生したコンクリートは,配合報告書には記載していない “ 溶融スラグ骨材 ” を使用していた。
・ 溶融スラグは,生コンJIS製品に使うことができない。
    →   生コンの日本工業規格 JIS A 5308 では,溶融スラグ骨材の使用を認めていない
・ 使用を認めていない骨材を使用したにもかかわらず,生コンJIS製品として出荷した。
     →   工業標準化法違反   経済産業省発表 (2008.7.8)
・ 7/4   登録認証機関がM社に立入検査実施
・ 7/8   登録認証機関がM社の新JIS認証取消   日本建築総合試験所発表 (2008.7.8)
・ 7/9   プレス発表
・建築基準法では,建物に使用する材料は,JIS製品でなければならない。 
    →   該当コンクリートを使った建物は,建築基準法違反の可能性が高い                               国土交通省発表 (2008.7.8)
    →   コンクリート構造物の補償等検討
・7/10  経営者及び工場責任者,謝罪会見開催
            TBS NEWS 2008.7.10
            YOMIURI ONLINE 読売新聞 2008.7.11

どうやら,M社は “ 溶融スラグ ” を使用したために大変な事態を迎えているようです。
では,この溶融スラグとは一体どのようなものでしょうか?

溶融スラグは,一般ごみ等や,一般ごみを焼却した後の灰を高温処理して結晶化させたガラス状の物質です。
また,溶融スラグはリサイクル材料として,土木・建築分野では埋戻し材,インターロッキングブロック等のコンクリート二次製品では,細骨材の代替として利用されているようです。
            溶解スラグQ&A

溶融スラグそのものは,2006年6月にJIS A 5031 「一般廃棄物,下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材 」 という長い名称でJIS化されています。
一方,生コンの日本工業規格 JIS A 5308 「 レディーミクストコンクリート 」 では,使用できる骨材が,同書附属書1に規定されていますが,このなかに溶融スラグは含まれていません。
このため,溶融スラグを使用した生コンは,『JIS製品』ではなく『JIS外製品』となります。

一般に購入者は,生コンの『JIS製品』と『JIS外製品』の区別を,コンクリート納入書にJISマークがあるかないかで認識します。
JIS A 5308では,生コンが固まる前の状態(フレッシュ性状)に関する品質と生コンが硬化した後の状態(強度)に関する品質をそれぞれ規定しています。
ところが,生コンは半製品のため,正常に硬化することを前提にして,生コンをミキサ車に積込む際(練混ぜ時)に,納入書にJISマークを表示して出荷するシステムを採用しています。
なお,半製品をカバーするためか,生コンの納入に先立って,生コンに使用する材料に関する情報(種類,製造業者,各特性値等)と該当する生コンの配合(各材料の単位量)を記載した『配合報告書』を購入者に提示することが義務付けされています。

M社は,JIS外製品であるにも拘らず,納入書にJISマークを表示して出荷していた模様ですから 『 生コン版偽装事件 』 であると解釈できます。
JISマークの表示は,経済産業省が管轄し,かつ,工業標準化法で定めていますから,この偽装行為は工業標準化法違反となります。

さて,事態がややこしいのはもう一つ別の法律に触れるためです。
建築基準法第37条や平成12年5月31日付けの国土交通省告示では,“ 建築物の重要な部分に用いるコンクリートは,JIS A 5308に適合するもの,もしくは大臣認定品を使え ” としています。
つまり,M社の溶融スラグを使った生コンは,JIS外製品ですから,マンションの柱や梁に使用するためには,該当生コンで大臣認定を受けていなければなりません。
このため,M社の生コンで,造ったマンションは違法建築物件となります。

このように記述すると,工業標準化法及び建築基準法違反に係る事態の主因は,ポップアウトではなく,基準で使用を認めていない骨材を無断で(あるいは騙して)使用したことである事がわかります。
なお,本件について,国土交通省大臣は 『 これは,犯罪行為である 』 とコメントしています。  
            産経ニュース 2008.7.11

次に事態発覚のキッカケとなったポップアウトについて触れてみましょう。 ポップアウト現象

この現象は,生コンに膨張する性質を持つモノが混入し,コンクリートが硬化した後,この膨張物質が膨張し,その膨張圧によって,表面部分コンクリートが剥がれる現象です。
ポップアウトはまれに発生する現象です。大抵の場合,原因物質(膨張物質)は特定されますが,それが混入した経緯が特定できないことが多いという特徴があります。
プレス発表をうけたためか,M社に溶融スラグを供給した,R社は自社のHPで “ お知らせ ” としてメッセージを発信しています。     R社の説明 REFULEX リフレックス
メッセージでは,ポップアウトと溶融スラグの因果関係について,明確ではないとの見解を示しています。

ボンドは,これまでの人生で,かつてM社の従業員だった人と少しだけ縁があり, “ 巷のうわさ ” の類を耳にしています。
公式に発表された情報からの考察ではないことをお断りしたうえで,ポップアウトと溶融スラグの因果関係について述べたいと思います。

・ 膨張物質は何だったか?
 ポップアウト片の分析結果,膨張物質は「生石灰」であり,何らかの原因で生コンに生石灰が混入したためと判明されたとの情報があります。
・ 生石灰とは?
 生石灰は,化学式CaOで表されるが,自然界には存在せず,炭酸カルシウム(CaCO3)を焼くことにより得られる物質であるため,通常,生コン材料として使われません。
 水を加えると激しく反応し,消石灰となります。
 この反応は発熱反応であり,乾燥剤や清酒を温めるのに利用されています。
 例えば,石灰砕石等は,類似の漢字が使用されているが,石灰石に含まれておらず,焼く等人工的に加工しない限り生石灰は得られません。
 石灰石は,炭酸カルシウムを主成分とする骨材なのです。     酸化カルシウム
 なお,例えばセメントの化学分析結果では,CaO量が記載されますが,これは,化合物として存在するカルシウムイオン量をCaO量として表記しているだけで,生石灰が含まれているわけでありません。
・ 生石灰混入ルート
 生コン工場で,生石灰を使用することはありませんから,例えば生コンプラントミキサ室内等で故意に保存していません。
 なお,生石灰製品を保管する場合,防火関係から管轄の消防署への届出が必要になります。
 このため,使用材料のどれかに混入したと考えられます。
 しかし,考える必要があるのは,セメント,細骨材,粗骨材のいずれかに混入したとすると,いずれかの材料を,M社と共通で使用している別の会社からも同様のポップアウトが発生しているはずです。
 M社のコンクリートだけに発生したとすると,「他社と比較してM社だけが使用したあの材料に問題があるのでは?」 との思いに駆られます。

・ 溶融スラグを使用したコンクリートの研究
 近年,溶融スラグをコンクリートに使用する研究は盛んに実施されていたようです。
 その研究のなかに,下水汚泥から生成した溶融スラグを使用したコンクリートにポップアウトが発生した事例が報告されています。
 しかも,生石灰起源のポップアウトであったことが報告されています。
            溶融スラグ骨材を用いたコンクリート

・ 溶融スラグに生石灰は潜在するのか?
 先の研究論文では,溶融スラグの製造方法が紹介されています。
 多数の製造方法があるようですが,シャフト炉式(コークスヘッド方式)と呼ばれる溶融炉を使用する製法が最も普及しているようです。
 この製法は,溶融スラグの原料となる一般ごみや一般ごみ焼却灰にコークスと石灰石を添加して炉に投入するのが特徴です。
 そうです。石灰石(CaCO3)を焼いているのです。
 このため,生成した生石灰(CaO)を内部に閉じ込めたまま溶融化したスラグが出来る可能性があるのではないでしょうか?

・ R社の溶融スラグはどうなのか?
 再び,R社のHPを確認する必要があります。
 HPの沿革によると,R社は環境管理・産廃処理を専門としてきた業者です。
 R社は,汚染土壌の溶融スラグ化を環境浄化事業として取り組んでいます。
 また,この事業は,Uリサイクルセンターにおいて,コークスヘッド式の溶融炉により運営しているようです。
            R社のホームページ
   
以上が,ボンド個人の考察です。
 現在,国土交通省が,M社の実態について過去10年位前の記録類を調査している模様です。
 時間経過とともに,溶融スラグとポップアウトの因果関係も明確になると思います。

 今週は,まるで約1ヶ月分の紙面を一気に使ったような長くなりましたが,まだまだ語りつくせていません。
 M社が係る事態に至った事に関する考察は,来週あらためて行いたいと思います。
 最後に,溶融スラグはM社が存在する神奈川県だけで汎用しているのでしょうか?
 答えはノーです。
 次のサイトにアクセスして検索してみてください。
            汚泥製品検索

 たくさん書きましたが,本当は,係る事態に意気消沈しています。
                                                                             -ベトン・ボンド-

2008年7月 8日 (火)

Gi が鉄屋さんをやめます。

Gi1  

 

 

 

 

 

 

 

すっかり,かたづけられた2階の事務所の壁に,グループHiRACがコンクリートカヌー大会での活躍を報じた ” 連絡誌 よ!!  ”  だけが貼られています。

床には,取引先からの問い合わせにいつでも答えられるように整然と積み重ねられた資料が,律儀な職人を物語っています。

『あんたらとこにおさめたもののメンテは,責任をもってさせてもらいます。
  あと2年ぐらいは身体が動くやろうからね』

技術大国日本を,根底で支えてきた職人が,また一人一線から身を引きます。
不況のもと,技術への注力が軽視される中で技術力の継承などを目的として,
夢を打ち上げるんやない。夢で打ち上げるんや 」を合言葉に,
民間での人工衛星の作成に着手した SOHLA〔 東大阪宇宙開発協同組合(Astro Technology SOHLA) 〕の活動を日本をこれから支えていく若い人達はどのように見ているのでしょうか?

企業としては,利益が第一かもしれません。
利益を生まないものに投資する必要もないのかもしれません。
その選択は正しいのですか!?

人件費が安いからの理由で,生産拠点が技術立国日本を離れて多くの月日が流れました。
また,多くの人が農業国日本と勘違いしている我が国日本には,それを維持する『種』がありません。
輸入した『種』からできた『種』を植えても,期待したものにはほど遠いものしかできないといわれています。

Made in Japan はどこにいったのでしょう。
技術を継承し,自ら立つ力を再び身につけなければ,いずれこの ” つけ ” がまわってきます。
思想を論じているのではありません。
輸入ができない生コンクリート製造の分野で生きるものとして,真に技術を高める努力をしてきたか,知恵をふり絞ってきたかと自問自答しているのです。

真面目に,従業員や家族そして会社を守ってきた職人が去っていきます。
もう一度,一緒にコンクリートカヌーで若者達と競い合う日が来ることを切望しています。 

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 コンクリート屋の Gi より

2008年7月 7日 (月)

Mr.Bond の 劣化診断

6月30日の記事でグループの皆さんへ出題した劣化診断について,ボンド氏より報告書が届きましたのでご紹介します。 

コンクリート診断士の学習で参考にしてください。

また,意見がありましたらご連絡下さい。

Shin01  

 

 

 

 

 写真1

 

Shin02  

 

 

 

 

 写真2

 

Shin03  

 

 

 

 

 写真3

 

 

1.劣化内容

    写真1~写真3よると,このRC柱は,コンクリートの浮き及び剥落が生じており,鉄筋が一部露出している。

    露出した鉄筋表面は錆が発生しているが,断面欠損については確認できない。

    なお,写真では,漏水や錆汁及びゲル滲出は確認できない。

    また,露出した鉄筋に座屈や変形(曲部)は認められず,鉄筋内部のコンクリート崩れも発生していないため,阪神大震災被災による損傷の可能性は低いと思われる。

    しかし,コンクリートの浮き・剥離及び露出した鉄筋表面が錆びていることから,緊急に補修する必要があると判断する。

2.劣化要因の推定

    構造物が置かれた環境(運河の近くに存在)と劣化内容から,飛来塩分による塩害,コンクリートの中性化によるものと推定される。

    また,構造物は建築されてかなり年数が経過していると思われることを考慮すると両者が複合して劣化に至ったとも考えられる。

    一般にアルカリシリカ反応による劣化が発生したコンクリート構造物は,拘束が少ない場合は亀甲状のひび割れが発生し,柱等のように軸方向鋼材で膨張が拘束される場合には,軸方向に大きいひび割れが発生する。

    このため,アルカリシリカ反応による可能性についても検証する必要があると考える。

3.要因を特定するための手法

  1 書類調査

柱の設計図面,使用したコンクリートの情報使用材料,調合及び品質記録),供用された後の補修の有無及び補修履歴について,設計図書や管理記録類の調査をおこなう。

  2 コア採取及び試料分析

     鉄筋位置より深い箇所までコアを複数採取する。

   ① 塩化物量試験

      得られたコアの一部を等間隔でスライスし,それぞれを分析試料として,可溶性塩化物量と全塩化物量を測定する。

       測定結果を,JIS A 5308 によるコンクリートの塩化物含有量の規定値(0.30/m3)や発錆限界塩化物イオン量(1.2/3)と比較をおこなう。

     また,コンクリート表面からの距離と塩化物量の関係を図示し,構造物中の塩化物量濃度分布を把握する。

   ② 中性化深さ

     コアを割裂し,割裂面に1015㎜間隔でフェノールフタレイン1%溶液を噴霧し,中性化した箇所の面積を測定して中性化深さを把握する。

   ③ アルカリシリカ反応

     コア破断面に酢酸ウラニル溶液を塗布し,UVライトを照射してアルカリシリカゲルの存在を確認する。

     アルカリシリカ反応を起こしたコンクリートは,圧縮強度の低下と著しく弾性係数が低下するといわれているため,コアの強度と弾性係数を測定し,設計基準強度との比較をおこなう。

     採取したコアを,促進養生試験により残存膨張量を測定し,既存のコンクリートが有害な膨張量を残存しているかの判断をおこなう。

3.補修方法

   劣化要因により補修方法が異なるため,劣化要因別に列記する。

  1 塩害

    塩害とした場合,露出鉄筋に著しい断面欠損が発生してないと思われるため,柱劣化過程を加速期と判断する。

    このため,鉄筋の腐食進行を低減するために電気防食をおこない,浮きが生じた箇所及び,限界値を超えた塩化物イオンを含むコンクリートを除去して断面修復を行う。

  2 中性化

    塩害と同様,劣化過程を加速期と判断する。浮きが生じた箇所及び,中性化している部分のコンクリートを除去して断面修復をおこなう。

    車の排ガス等の影響が懸念される場合等,表面被覆を施し,コンクリート表面からの腐食性物質の侵入を防止する。

  3 アルカリシリカ反応

    ゲル滲出等の現象が確認できないため,アルカリシリカ反応による柱の劣化の可能性は低いと思われる。

    アルカリシリカ反応による場合には,劣化過程を加速期又は劣化期と判断する。

    劣化したコンクリート部分を除去し,断面修復をおこなう。コンクリートの弾性係数が著しく低下している場合には,FRP・鋼板接着やRC巻立て補強を実施する。

2008年7月 6日 (日)

『 満員電車 』

ボンド,ベトン・ボンド。
ボンドの所属するエージェントは,大阪市内にあります。
このため,某私鉄を利用して通勤しています。
いわゆる通勤ラッシュといわれる時間帯に電車に乗りますから,朝はぎゅうぎゅう詰めの状態です。

この通勤電車は,老若男女,学生からいろいろな生業の方が乗ってきます。
満員電車の中は,決して気持ちいいものではありませんが,皆それぞれ,様々なことをして過されています。
オードソックスな過し方は,寝る,新聞・雑誌や本を読む,音楽を聴く等と思います。
衰弱しきったような表情で寝ておられる方を観る事がありますが, “ 今日この方達は,朝から疲れているけれど職場でいい仕事ができるのかな? ” と心配になることがあります。

最近は,携帯電話でメールをする人やテレビを観賞する人が増えたように感じます。
ボンドは,携帯電話の画面と “ にらめっこ ” する人達に対して,揺れる電車のなか,あの小さな携帯電話の画面を見続けていることと,メールを打つのが早いことに大変感心しています。
また,録画機能を持つ携帯電話があるとききますが,ますます多機能化していく携帯電話メーカーの商品開発力に大変驚いています。

まれに,スーツを召した方でDSやプレステ等でゲームをしている人に出会うことがあります。
ボンドの息子も,DSにハマっていますから,ゲームは楽しいのでしょうが,会社に持ち運んでまでやる必要があるのか不思議に思います。

そんなある日,年の功は40歳位,身長160㎝位の男性会社員?が,参考書を片手にしています。
参考書の中身がチラッと見えたとき,何か見た事のあるグラフが載っていました。
そうです。その図は,コンクリートの塩害劣化の進行状況を示すグラフでした。
おそらく,参考書のサイズから,コンクリート工学協会発行の “ コンクリート診断士合格必携 ” と推察できます。
ボンドは終着駅まで電車に乗りますが,この方は,終着駅のひとつ手前の駅で電車を降りていきましたから,ゼネコンか商社に勤務しているのかも知れません。

ボンドの親友3人が,コンクリート診断士に挑戦します。試験日まで1ヶ月を切っていますが,まだまだ学習できます。
あの会社員のように,ライバル達は静かに刃を研いでいます。
親友たちが準備を怠らず,試験当日を迎えることを心から念じています。
さて,お三人さん。
例の柱の診断を一緒に行いましょう!!

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                                      『好物はヨーグルトです』

本当に暑い日が続きますね。
-ベトン・ボンド-

     Unicef

     

     Kataru2

     Kataru2

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