Gi が鉄屋さんをやめます。
すっかり,かたづけられた2階の事務所の壁に,グループHiRACがコンクリートカヌー大会での活躍を報じた ” 連絡誌 よ!! ” だけが貼られています。
床には,取引先からの問い合わせにいつでも答えられるように整然と積み重ねられた資料が,律儀な職人を物語っています。
『あんたらとこにおさめたもののメンテは,責任をもってさせてもらいます。
あと2年ぐらいは身体が動くやろうからね』
技術大国日本を,根底で支えてきた職人が,また一人一線から身を引きます。
不況のもと,技術への注力が軽視される中で技術力の継承などを目的として,
「 夢を打ち上げるんやない。夢で打ち上げるんや 」を合言葉に,
民間での人工衛星の作成に着手した SOHLA〔 東大阪宇宙開発協同組合(Astro Technology SOHLA) 〕の活動を日本をこれから支えていく若い人達はどのように見ているのでしょうか?
企業としては,利益が第一かもしれません。
利益を生まないものに投資する必要もないのかもしれません。
その選択は正しいのですか!?
人件費が安いからの理由で,生産拠点が技術立国日本を離れて多くの月日が流れました。
また,多くの人が農業国日本と勘違いしている我が国日本には,それを維持する『種』がありません。
輸入した『種』からできた『種』を植えても,期待したものにはほど遠いものしかできないといわれています。
Made in Japan はどこにいったのでしょう。
技術を継承し,自ら立つ力を再び身につけなければ,いずれこの ” つけ ” がまわってきます。
思想を論じているのではありません。
輸入ができない生コンクリート製造の分野で生きるものとして,真に技術を高める努力をしてきたか,知恵をふり絞ってきたかと自問自答しているのです。
真面目に,従業員や家族そして会社を守ってきた職人が去っていきます。
もう一度,一緒にコンクリートカヌーで若者達と競い合う日が来ることを切望しています。
コンクリート屋の Gi より