2009年10月 4日 (日)

『 模型 』

ボンド,ベトン・ボンド。
今回より, 「社内規格」 の編成の仕方について偏見を語りたいと思います。

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さて,JIS工場は品質管理を行ううえで,まず 「社内規格」 を整備しなければなりません。
生コンは JIS取得の歴史が比較的深く,生コンJIS工場の 「社内規格」 は既に形態が完成していることから,1から作るという経験を積むことが困難となっています。

例えば,JIS A 5308が改正されたとき,改正箇所に該当する頁を探して変更することはあっても作り直すことはまずありません。

さて,あのナゾナゾを思い出して下さい。
JIS工場が遵守しなければならない項目は 5つありました。
氏変更 』,『 折衝 』,『 春一番 』,『 急告 』,『 残渣

これら 5項目と 「社内規格」 の係わりを “ 絵 ” にして見ましょう。

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つまり,品質管理された生コンを製造するための準備とその審査方法は以下の通りです。

表1.準備内容と審査方式

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「社内規格」 の内容を大きく分類すると, 「 統括的事項 」 と 「 個別事項 」 の 2つの分野から成立しています。
統括的事項は,いかに工場を運営するかといったシステム的な色が濃いため,よりましな内容はあっても完璧な状態はないと考えられます。
そこでこのシリーズでは,まず個別事項から進めて行きたいと思います。
個別事項は,JIS Q 1011の附属書Aとして 6つに大別されて記載されています。
それぞれから出現する 「社内規格」 の項目例を表2に示します。

                                     表2.個別事項と社内規格項目例

Kikaku0103 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて,次になぜこのような 「社内規格項目例」 となるのかも含めて説明します。
今回は,A1.製品の管理から始めます。

その前に……。本日のキーワードです。

模型(プラモデル)を憶えていますか?
男性の方々は子供の頃に経験があり,あるいは大人になっても趣味にしている方がいるかもしれません。

Kikaku0104 ボンド自身,小学生の頃に “ガンダム” のプラモデルを作った記憶があります。
 その記憶によると,プラモデルは紙箱に入っていました。
 箱の表面には,船,車,ロボット等の,模型の対象となったモノが描かれて
 います。
 箱を開けると,各パーツと組み立て説明が入っています。
 組み立て説明図に従って,各パーツを組み立てて色を塗ると完成します。

実は,個別事項に関する 「社内規格」 の作成は,模型(プラモデル)作りとよく似ています。

JIS Q 1011 付属書A の各項目は,ガンダムにたとえると,顔や胴体等に相当する,各部分毎の組み立て説明書です。
対応する JIS A 5308 の諸内容が各パーツとなります。

模型は色を自由に塗ることができます。
社内規格作成で模型の色に該当するのは,内容の記載方法等です。
図や表を活用してもよいし, 「社内規格」 を社内の法律と位置付けをして六法全書のように文字ばかりで表現してもかまいません(ボンドは前者を支持します)。

そのようにして完成した 「社内規格」 を遵守すると,品質管理された生コンが完成します。

では, 「製品の管理」 に関する 「社内規格」 を編成する方法を表3に示します。

表3.製品の管理―組み立て説明図とパーツ―   表はクリックすると拡大します。

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赤字部分は 「製品規格」 に,青字部分は 「製品検査規格」  になります。
JIS Q 1011 に該当する項目は,それぞれ 「社内規格」 で規定しておけよという項目です。
JIS A 5308 の該当する部分には,規定すべき項目に該当する内容です。

あれっ? 「製品規格」って JIS A 5308 の本文を丸写しするんじゃないの?
確かにそのように考えている登録認証機関や審査官もいます。
しかし,表3 を踏まえると「製品規格」に,原材料や設備などに関する記述が必要でしょうか?
また,すべて丸写しすると,次のリスクを背負うことになります。

原材料や設備に関連する内容は, 「製品規格」 以外の章,すなわち 「原材料規格」 や 「設備規格」 でも同じ内容を記述しているはずです。
つまり,今年(2009年)の 3月のように JIS A 5308 や JIS Q 1011 が改正されたとき,該当する項目について 「製品規格」 は改正したが, 「原材料規格」  の方は忘れていたなんていう 事態に,おちいる可能性があります。

正しいのはどちらかと問われると答えに窮しますが,ボンドは JIS A 5308 本文のなかから,JIS Q 1011 の製品の管理で品質項目に該当する部分を 「製品規格」 としているタイプを好みます。

なお,表3には分類すらされておりませんが,JISマークの表示に関する告示事項(生コンの場合,納入書に外径10㎜のJISマークを附す等)について規定する必要があります。

さて, 「製品検査規格」 についての注意事項ですが,購入者と協議のうえ指定した(受けた)事項の検査について,規定しなければならないことを見過ごすケースをよく見かけます。

また, 「製品検査規格」 は検査を行うための試験方法について定めていますから,JIS A 5308 9.試験方法の内容を注釈等で記載しておくとよいでしょう。

今回はかなり紙面を使いました。
ここまで読まれた方も大変疲れたと思います。

お読みくださった貴方が生コン JIS工場に従事しているなら,ご自分の会社の 「社内規格」 を開いて,今一度, 「製品規格」 と 「製品検査規格」 を眺めてみてください。
そして,左側に JIS A 5308 を右側に JIS Q 1011 をおいて,よく見比べてください。

「社内規格」 は,ただ JIS規格 を丸写ししただけのものではありません。
たとえ誤字があろうとも,作成者たちが, 「 よりよい製品を製造するために 」 想像力を働かせ, ひと文字ひと文字を 刻んだ傑作なのです。

表2の 「社内規格項目例」 をみると, 「製品規格」 と 「製品検査規格」 以外 に 3つの項目が
あります。
何故か ? ,そしてそれらはどこから生まれたか ? については,次回とします。

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 最近,文章を創るのに大変時間が掛かるようになりました。
 深まりつつ秋とともに,トシを感じます。
                          by ベトン・ボンド

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