2009年8月12日 (水)

『 超克 』

ボンド,ベトン・ボンド。
コンクリート工事の激減が継続し,各地の生コン協同組合は,工場数を減らす施策を模索していると伺います。

こんな最中,JIS表示認証の取下げ処分を受けた生コン工場が増えている様子です。
処分は,何度もこのコーナーに登場したM社(1年前)を筆頭にして,長崎県 ・ 東京都 ・ 長野県 ・ 神奈川県で連続しています。

取り下げ処分に至ったのは,臨時認証審査や立入検査の結果,管理書類等の改ざんや,各種試験をJISで定める頻度で試験を実施していないなどが発覚したからだそうです。

このうち,“ 管理書類等の改ざん ” の発覚については大変な疑問があります。
約1年前の 『 性善説・性悪説 』 で,JIS認証審査は性善説に基づいて実施されているということを紹介しました。

例えば,国税局の立入検査はその企業が脱税しているかどうかを判断することが目的ですから,企業の経理関係書類を疑って検査すると聞いたことがあります。

しかし,JIS工場に対して実施される臨時認証審査や立入検査は,JIS表示認証取得者がJISの要求事項に適合しているかどうかを判断するための行為です。
このため, “ 管理書類の改ざん ” が発覚するケースは大変めずらしいのです。

過去の事例では,旧JIS制度のころ,ある工場が公示検査だったと記憶していますが,圧縮強度管理図で “改ざん” が発覚したことがあります。

200908121発覚した理由は,ある呼び強度の最新の管理図が,3回前の管理図と全く同じだったためです。

この工場は,この行為を顕著に受け止めましたが,再起を図るのは大変困難であったようです。

ちなみに,この会社は関西地区ではありません。

3回前の管理図と最新の管理図が全く同じであったのは,当時の生コン出荷が大変な旺盛であり,管理書類の整備にかける時間がなく,過去の管理図を再度使用したとのことでした。

ときの通商産業局の担当者の言葉です。
『あのねぇ……,事情は理解しますけど,お宅の書類は何一つ信用しませんよ。
 つまり,残された記録類はすべて信用できませんから!』
この生コン工場は,社長が顛末書を作成して事態収拾をはかりましたが,JISマーク表示一時停止処分を受けたと聞いています。

一方,先のJIS取下げ処分となった生コン工場が立入検査に至ったのは,どうやら元社員の内部告発らしいと伺いました。

これから想像すると,辞退が発生した経緯は概ね次の通りではないでしょうか。

生コン出荷量は減少傾向 が加速し,下げ止まりの感がありません。

生コン出荷量がどんどん減っていますから,会社経営上固定費の削減を行う必要があります。
そこで,長年勤めてきた “あの人” に白羽の矢が立ちます。
感覚の古いオーナであるとなおさらです。
“そういえば,あいつ,生コンの出荷が急がしかったときも生コン車運転もせず,現場に行くわけでもなく机に座ってパソコン見てたな。引退してもらおか”

あの人は,涼しい顔で聞いていましたが,内心は炎が赤々と燃えています。

“ 誰もせえへんかった記録を整備し,工場を守ってきたんや !
  それを不要扱いしやがって。目にモノいわしたる。”

炎は黒い煙をあげながら, “タレコミ” へと発展してゆきます。

長年,工場を守ってきた “あの人” の行為は感情的には理解できますが, “タレコミ” は残念ながら自己否定です。
それは,改ざん作業をおこなった張本人だからです。

現在,生コン出荷量はオイルショック時まで減少しています。
土木・建築業界は,公共事業の発注により,国や政治から仕事を保証され,インフラ整備や雇用確保対策として貢献してきました。

ところが,少子化により将来の財源が心配されるようになると,保全費用の問題もあり,税金を公共事業に投資しなくなってきました。

私たちの業界は,従来の形では存続しにくくなってきており,従来の仕組みを変えるようなアイデアが必要になっています。

そのアイデアを導けるかどうか分かりませんが,“チームワーク” がキーワードとなるのではないでしょうか。

危機艱難を乗り切るのは,特定のヒーローが実施するのではありません。
やはり,組織力が重要なのではないでしょうか。

7月下旬,ある研修会に参加しました。
その研修会で “チームワークがとれている状態” とは,「メンバーが方針(目標)を共有していること」と定義していました。
つまり,メンバーが気心知れている仲の良い状態を指すのではなく,同じ目標に向かって心を合わせていることとしています。
それはまるで,円錐を指すのではないでしょうか。
底面の円が個々のメンバーです。その頂点には共通の方針があります。

200908122かつて,私たち HiRAC が創ったカヌーは,すべて完走し,体力・知力とも勝る学生達を相手に上位入賞をはたしました。
チームワークの勝利でした。

今度の相手は,現在置かれている諸環境です。
新しい仕組みを創造してゆきましょう。
先日,子供とポケモンの映画を観に行きました。
その映画のタイトルのなかに“超克”という文字がありました。

“ 超克 ”とは, 『 困難や苦しみにうちかち,それを乗りこえること 』 という意味だそうです。
まさに私たちの今の状況を表すぴったりの文字です。

200908123  今週から,お盆休みとなります。
 お盆を明けると,
 暑くても残暑というように夏が弱まります。
 今年は,梅雨が長かったせいか夏が短く感じます。
 皆さん,お休みを満喫してください。
                by ベトン・ボンド

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