2009年6月18日 (木)

アイコンタクト

今日,知人である,QMS主任審査員と会った。

要件は, 『 CPD 』 いわゆる継続的な能力開発 ( Continuing Professional Development ) のことであったが,ついつい世間話やISOに関することで2時間程度話し込んでいた。

『 資源の少ない日本が,このように成長したのは,努力で身につけた能力と
  その勤勉さからであった。
  それを支えてきたのは,教育だ。今一度教育を考え直さなければいけない。』

彼が審査で多くの時間をさくポイントは, 『 マネジメントレビュー 』 と 『 教育・訓練 』 である。

『 教育訓練の結果の評価,力量の評価は給与明細書だよ ! 』

いつも通りの持論を唱えたあと,『しかし,若い者にも,ガッツのあるやつがいる』 と付け加えた。

睨み付けるような目で,考えながらしゃべる彼にはいささか似合わない言葉である。

話は針路を示す 『経営者のコミットメント』 の重要性から,いつもどおり 『コミュニケーション』 へと続き,最後に私の無力さを再確認してお開きになる。 

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『 マネジメントで大切なのは,和をもって貴しだな 』

今回は,話題が豊富だ。「聖徳太子の十七条憲法」がでてきた。

ものごとに,『自分だけが正しいということは,あり得ない』 というのである。

ここで,花山勝友著 『 高僧伝 聖徳太子(集英社発行) 』 による現代語訳を紹介する。 

   
   一に曰く
  第一に示しておきたいことは,
  人には調和が何よりも貴重であり,
  他の人々に逆らわないようにすることが大切である,
  ということなのである。
  人はそれぞれ好むグループがあるし,
  心が充分鍛えられているような者は少ないものだ。
   
  従って仕えるべき上司や両親の命令にそむいたり,
  まわりの人だちと意見を違えたりもすることになるのだ。
   
  しかしながら,
  もし上の者の心が穏やかで,
  下の者の心が素直で有れば,
  たとえどんなことを議論したところで,
  必ずお互いに理屈が通じるようになるから,
  世の中で達成できないことは
  何もなくなってしまうのである。
   

参考に,10条と17条も記載しておく

   
  十に曰く
  第十に示しておきたいことは,
  心の怒りを無くし,
  外側に怒りを出すことをやめ,
  そして他の人たちが
  自分と違う意見を持っていることに対して
  腹を立ててはいけない,
  ということなのである。
   
  一人びとりにはそれぞれの心があって,
  その心が拠り所とするものは同じ訳ではない。
  相手が正しいとすれば自分が間違っているのであり,
  自分が正しいとすれば相手が間違っていることになる。
   
  自分がいつも偉いということはないし,
  相手がいつも愚かであるということもない。
  お互いに平凡な人間にしかすぎないのだ。
   
  一体誰が正しいとか間違っているとかを
  決めることが出来るということなのだろうか。
  ちょうど,丸い輪には端がないように,
  お互いに賢いこともあれば愚かなこともあるのだ。
   
  したがって,
  たとえ相手がどんなに腹を立てても,
  自分の方が間違っていないかどうかを
  まず考えるべきなのである。
   
  そして,
  たとえ自分が正しいのではないかと思ったとしても,
  他の人々の意見を聞いて
  同じように行動すべきなのである。
   
   十七に曰く
  第十七に示しておきたいことに,
  物事を決断するときには一人でしてはならない,
  ということなのである。
   
  必ずみんなと一緒に
  相談してから決定すべきなのである。
  小さな問題の場合は
  そんなに重要ではないから,
  必ずしもみんなで相談しなくてもよいだろう。
   
  しかしながら,
  重要な問題について議論する場合には,
  少しでも間違った結論に
  到達する恐れがあってはならないのである。
   
  だからこそ
  多くの人々と一緒に議論することによって,
  正しい結論に到達できるように
  するべきなのである。
   

私たちは,宗教の話でも,道徳の話でもなく,マネジメントの話をしたのだ。

Group HiRAC の諸君。
先入観をなくして,穏やかな心で,もう一度読んでもらいたい。
マネジメントの考え方には,新しいものはないのである。

「難しいことを,あわてることなく,簡単にこなす者」
それが,プロだとお互いに言ってきた。

一人の世界なら,自らの努力で目標を達成出来るだろう。
しかし,私たちはチームの中で生きている。
単純なその時だけの打合せで,プロとしての仕事が出来るのだろうか?

サッカーで 「アイコンタクト」 という言葉が使われる。
その場限りのコミュニケーションで, 「アイコンタクト」 は生まれない。
すばらしいプレーが生み出されたのなら,個人の能力によるプレーに過ぎない。

日常の「コミュニケーション」こそが,「アイコンタクト」を生み出し,チームを勝利の歓喜に導く。

羅針盤が方向を指し示さなくても,起こっている現象にとらわれることなく生き抜く力を身につけ,そして,私たちも,新しいステージに向かって,スマートに 「アイコンタクト」 したいものだ。

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 誰でもない,君が灯をつけろ!            フーテンの熊

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