『 防御 』
ボンド,ベトン・ボンド。
今回はアカデミックなボンドです。
12月の第二週から,経済産業局による新JIS生コン工場への立入検査が開始されました。
現在,大阪府下の生コン4社に対して立入検査が実施されています。
また,登録認証機関のJISサーベイランスも始まっています。
ある生コン会社 “V社” のサーベイランスのお話です。
サーベイランス件数の少ないため,ポイントをお伝えすることはできませんが,JISサーベイランスは,移行審査に比べて,統括的事項を重要視されているように思われます。
応対者の受け取り方にもよりますが,V社の品質管理責任者によると,やや辛らつな質問が多かったとのことでした。
・Q1 | 社員教育計画に社内規格勉強会が含まれていませんが,従業員は社内規格を,隅々 | ||||
まで把握しているのですか? | |||||
・Q2 | 現場から加水を要請された場合,運転手は品質管理責任者に報告し,折衝を依頼する | ||||
と『社内規格』に規定しています。 | |||||
このような事態になった場合,加水してくれなければ生コンを買わないと現場から言われ | |||||
たら,品質管理責任者としてどのような対応をしますか? | |||||
・Q3 | 品質管理責任者は,各組織間の有機的連携をとる必要がありますが,どのようにして | ||||
いますか? | |||||
・Q4 | 社員教育の有効性評価はどのように実施していますか? | ||||
・Q5 | 出荷承認を行った証拠はありますか? | ||||
この審査官は,あるセメントメーカー直系生コンのOBであるらしいと伺っています。
さて,HiRAC の皆さん。
このような質問を受けたらどのように答えますか?
これらの質問のうち,Q5は優れた質問です。
経済産業局が認定していたJISと登録認証機関が認証するJISは,制度自身が異なります。
(工場認定から製品認証になりました!)
製品認証である現行制度では,品質管理責任者の職務のひとつでもある出荷の承認は,その根幹となるため,Q5は重要な質問です。
品質管理責任者の出荷承認については,IQCブロック会議等の新JIS制度講習会で繰り返し説明された項目です。
言葉からは,品質管理責任者は,製品を出荷する都度承認しなければならないかのように受け取れます。
しかし,各講習会では,次のような主旨の説明であったと記憶しています。
① | 通常の場合(製品に異常がない場合),出荷承認はJIS工場では組織的に行っている。 | ||||
② | 一方,異常が発覚したとき(生コン製造では,目視スランプが軟らかすぎる等),それらを | ||||
当事者だけで(生コン工場の場合,製造係と出荷係)“かまわないから出荷していしまえ” | |||||
として処理しないようなシステム(異常が発覚した場合,品質管理責任者に報告して指示 | |||||
を仰ぐ等)を構築しなければならない。 | |||||
③ | 品質管理責任者も,製品出荷に至る管理記録には目を通しておく必要がある。 |
このように記述すると,出荷承認の証拠は,関連する帳票類を確認することとなりますから,複数の管理データ類に品質管理責任者が検印しているかどうかということになります。
管理記録類 : 製造日誌,工程管理記録,製品管理記録,
レディーミクストコンクリート納入書綴り等
この出荷承認については,経済産業局も興味を持っており,同局の立入検査でもヒヤリングされる可能性が高いとも言われています。
九州地方の生コン工場で実施された立入検査では,この出荷承認に関する質疑に対して,品質管理責任者の返答が曖昧であったため大問題になったとの噂も聞きます。
もう一度,品質管理責任者の職務について,JIS認証工場は,専門の書籍等をよく学習しておく必要があります。
参考 : 日本規格協会発行 力量のあるJISマーク品質管理責任者の実務 事例と解説)
プロジェクトZ,プロジェクトM,レコンキスタ等は,攻撃です。
一方,JIS統括的事項は,防御(ディフェンス)です。
バランスの取れた,攻撃と防御ができるよう一層の訓練が必要です。
いよいよ12月も後僅かです。
皆さん,ちょっと早いですが
メリークリスマス!!
by ベトン・ボンド