JIS品質管理責任者の能力の確認について
財団法人日本規格協会 企画開発部JIS認証制度支援室の中に,JIS登録認証機関協議会があります。
協議会は,『登録認証機関相互の連携を密にし,JISマーク制度の信頼性,公平性,統一性の確保に努めるとともに,工業標準の普及,発展に貢献することを目的として設立された』ことが,その設立趣意書に書かれています。
この協議会から,「品質管理責任者養成のための講習会基準について(平成20年9月11日)」が発表されています。
品質管理責任者とは,旧JISマーク表示制度で義務づけられていた工業標準化品質管理推進責任者(IQC)と同様に新JISマーク制度において重要な役割を担う者です。
工業標準化品質管理推進責任者の(IQC)の資格を持った人が,新JISマーク制度における品質管理責任者と認められるのにはどのようにしなければならないのか?
フォローアップ講習会を受ける必要があるのか?ないのか?
このような疑問から,JIS登録認証機関協議会事務局の担当者におたづねしました。
掲載するのは「品質管理責任者養成のための講習会基準について」への質問と回答で,公表については担当者の方の承諾をいただいています。
1. | この中で,「・・・,最終的な品質管理責任者の能力の確認については,各登録認証機関が | ||||
責任を持って行うものとする。」とは,どのように理解すればよいでしょうか? | |||||
「講習会基準」と「能力の確認については,各登録認証機関が責任を持って行うもの」との関係をお教えください。 | |||||
たとえば,以下の疑問を解決できる内容です。 | |||||
① | 講習会基準には各登録認証機関の自由裁量を挟む余地が無く,その基準に則って取 | ||||
得した者の最終的な能力の確認を,各登録認証機関が責任を持って行うものなのか | |||||
回答: | 省令第2条第1項第5号ロ(2)にある「標準化と品質管理に関する知見を有すると | ||||
認められること。」の判定は,認証審査の一つとして登録認証機関の責任と権限で行います。(参考: 日本工業規格への適合性の認証に関する省令) | |||||
これが原則です。 | |||||
ただし,その詳細判断基準は省令には定められていませんので,各登録認証機関が自ら設定することになり,この場合,各認証機関によって判断基準が大きく異なるとJIS認証申請者等に困惑を招くおそれがあります。 | |||||
特に講習会については,どの研修機関の講習会を認めるかということについては受講者が迷わないようにするため,協議会として標準を設置したわけです。 | |||||
各認証機関はこの基準を満たしている講習会を修了している者は,面倒な審査(面接や試験など)をせずに修了証を確認するだけで知見を有する者として認めるということです。 | |||||
② | 講習会基準は開催者基準であり講習会を受ける必要はなく,品質管理責任者の能力 | ||||
の確認は,各登録認証機関の判断によるものなのか | |||||
回答: | 一方,講習会を受講,修了しなければならないという一般ルールはありません | ||||
ので,他の方法で知見を有することが証明又は確認することができればそれでもよいことになり,知見の確認方法は各登録認証機関の責任と方法によることになります。 | |||||
③ | その他 | ||||
回答: | 講習会基準については,この基準を満たしている講習会の修了者は修了証の | ||||
確認だけで知見がある者と認めるための登録認証機関協議会の約束事ですから,強制ではありませんが,協議会の会員はこれを守ることになります。 | |||||
この場合,いろいろな講習会を修了してこれらを合計した講習科目及び講習時間が基準を満たしている場合(あわせ技)も認められます。 | |||||
2. | 鉱工業品等の区分Aには,現在17の審査機関が登録されているとのことですが,各審査 | ||||
機関での品質管理責任者の能力の確認についてはどのような状況なのでしょうか? | |||||
各登録認証機関に問い合わせる必要があるのかと思いましたが,設立趣意書に「登録認証機関相互の連携を密にし,JISマーク制度の信頼性,公平性,統一性の確保に努める」とありましたので,おたずねします。 | |||||
回答: | 上記(1.についての回答)のとおり,最終的には認証機関の責任と判断です | ||||
ので,実際又は詳細の確認方法についての状況は把握しておりません。 | |||||
各登録認証機関にお訊ねください。 | |||||
少なくともJSA(日本規格協会)の講習会については認められていると思います。 | |||||
3. | 「品質管理責任者養成のための講習会基準について」(平成20年9月11日版)を拝見してい | ||||
ますが,制定版(平成18年3月14日)と第1回改正版(平成18年4月7日)では,どの箇所を改訂されたかお教えください。 | |||||
回答: | 以下のとおりです。 | ||||
2.1(6)について | |||||
【変更前】 | 「新JIS マーク表示制度への移行期間終了(2008年9月30日)まで | ||||
の期限付き実施とする。」 | |||||
【変更後】 | 「2009年9月30日までの期限付き実施とする。」 | ||||
【理 由】 | 新制度への申請手続きが完了していない企業があり,また品質管 | ||||
理責任者の複数養成を希望している場合もあるため,2008年10月以降も引き続き受講できるようにした。 | |||||
その他 | |||||
【変更前】 | 科目名 | 「JIS Q 17025・測定の不確かさ」 | |||
範 囲 | 「工業標準化法の改正・試験所認定制度変更のポイント, | ||||
測定の不確かさ,自己適合宣言等」 | |||||
【変更後】 | 科目名 | 「JISマーク表示認証における製品試験とJIS Q 17025」 | |||
範 囲 | 「JIS Q 17025要求事項,不確かさ, | ||||
測定のトレーサビリティ,試験所認定制度」 | |||||
【理 由】 | 従来の科目名は「JISマーク表示認証における製品試験とJIS Q | ||||
17025」に関する「測定の不確かさ」のみが強調された名称となっているため,専門分野又は科目範囲を代表する名称に改めた。 | |||||
また,範囲についても旧制度の移行期間が終了した時点からは,旧法の失効に伴い改正内容に関するウェイトを下げ,製品試験に係るJIS Q 17025の概要及び試験所認定制度に関する内容に重点を置くことが望ましいため改訂した。 | |||||
以上 |