『 執行 』
ボンド,ベトン・ボンド。
帰りの車の中,ラジオからある殺人犯の死刑が執行されたことに関するニュースが流れています。
ニュースは,ある新聞のコラムが,死刑執行にサインをした法務大臣のことを “ 死神 ” と揶揄したことについて,法務大臣が激怒したことを報じていました。
法務大臣本人のコメントが報道されていましたが,その口調からは,大変憤慨している様子でした。
わが国の刑事訴訟法475条には,死刑判決が確定した場合,法務大臣の命令により6ヶ月以内に執行すると定められています。
ただし,これは法的拘束力のない訓示規定だといった解釈も成立するらしく,死刑の執行に関する期限は,明快な法律がないのが実情のようです。
歴代の法務大臣のなかには,宗教上あるいは道徳上の理由から,一度も死刑執行にサインをしなかったヒトもいたようです。
そのような背景の中,現行の法務大臣は,既に13件の執行を実施しために,新聞のコラムで “ 死神 ” と揶揄された様子です。
さて,ここで最近流行の “ コンプライアンス ” について考えてみました。
執行にサインした現行の法務大臣と,確定した死刑執行に一度もサインしなかった過去の大臣を比較して,どちらがコンプライアンスに違反しているのでしょうか?
“ コンプライアンス ” とは,“ 法令遵守 ”という意味で,例えば,大企業の粉飾決算等で社会的信用を落とすことのないように戒めたものです。
事例として死刑執行が適切かどうか自信がありませんが,法令のなかにも “ あいまい ” な領域があります。
ボンドは,このように曖昧な法令を対象とする場合,“ コンプライアンス ”を考察する事と,法令違反にあたるかどうか判断することは並列でないと思います。
私たちが携わっている “ コンクリート ” について言うならば,配合設計における “ 単位水量 ” が該当するのではないでしょうか。
例えば,生コンの日本工業規格(JIS A 5308)には,コンクリートの単位水量に関する数値的な規制は一つもありませんが,建築学会や土木学会の仕様書には,それぞれ上限値が規定されています。
しかし,生コン工場が保有している, “ 標準配合 ” に示される “ 単位水量 ” は,目安なのか,保証するものなのかよく分かりません。
コンクリートは,セメント,細骨材,粗骨材,水,化学混和剤といった異なる材料を練混ぜて,所定の品質を付加する品物です。
各材料の品質は,それぞれある範囲で変動することを考慮して,配合設計を行うわけですから,製造したコンクリートの “ 単位水量 ” は,保証値ではなくて目安となるのではないでしょうか。
生コン業界には,矛盾点を取上げて,“ コンプライアンス違反 ”を強調する方が増えていますが,生コンの “ コンプライアンス ” とは何かをもっと考察する必要があると思います。
昨年から育てているオオクワガタが羽化して成虫になりました。
今は梅雨ですが,夏の到来を肌で感じています。 -ベトン・ボンド-