『 矛盾 』
ボンド,ベトン・ボンド。
今週は,どのようなお話しにするか散々思考して 『 矛盾 』 にしました。
さて,4/17, 4/18にコンクリート標準示方書(以下RC示方書)改訂講習会が,大阪国際会議場で開催されました。参加者によると,施工者は生コンの材料計量記録を午前2回,午後2回確認するよう規定されている模様です。
また,平成20年2月18日の JIS A 5308 改正案では,平成21年からレディーミクストコンクリート納入書に単位量の記入が必要になり,平成22年からは購入者の要望により,材料計量値から求めた単位量を記入するよう規定されています。
これまでの生コンクリートは,使用する材料の種類及びその詳細,各単位量を配合報告書と称して事前に提出し,150m3出荷する毎に品質試験を実施するシステムで運営されていました。
生コンクリートは,扱いに慣れた人は,その状態からスランプについてある程度の推測ができますが,セメント量や水の量については,外見だけでは判断できません。
特にトンネルや橋梁で連続して発生したコンクリート剥落事故では,工期や工法の問題から,コンクリートに加水した事実が明るみになりました。
現在でも,時折加水行為で摘発される生コン会社が存在します。
土木学会が,施工者による計量値の確認を規定したのは,加水行為を防止する意図がある模様です。
次に,単位量の記載について考えて見ましょう。
生コン製造会社は,都心ではスランプ上限値指定があり,地方では粗骨材最大寸法40㎜の指定で中味は25㎜にする要請を受けることがあります。
このようなケースは,仕様書等の設計が,建物の品質のみを重要視していて,施工性を考慮していないために発生するのですが,これまで生コン会社がその矛盾をすべて対応してきました。
しかし,昨今,食品で発生した消費期限偽装や建築設計の構造計算偽造の教訓から,この種の矛盾は,構造物を建設する側だけで対応することには限界があります。
設計思想のみで建物を建設できた時代は終結しているのです。
このため,我々施工に携わる部門は,設計側に設計自身を再検討するよう要請できる雰囲気を造ることが最も重要なことではないでしょうか?
土木建築業界において施工会社と比較して生コン会社は,発言力が低いという現状がありますが,この矛盾を解消するために私たちは,説明する努力と折衝力を研ぎ澄ます必要があると思います。
新緑が勢いを増す中,ひとり高揚するボンドでした。