2008年4月26日 (土)

『 迂闊 』

ボンド,ベトン・ボンド。

 今週のキーワードは,“ 迂闊 ”です。
 さて,本日ある方から唐突に次の問い合わせがありました。
 
「知ってたかぁ? 粗骨材の密度測定方法が改訂されてんでぇー。 試験試料の量が倍になってんねん!」
 
 ボンドは,仕事柄JIS等の規格改訂には少し敏感なつもりでしたが,これについては少しも心当たりがありません。
 
 JISに適合する生コンを製造するためには,製品,原材料,設備において,JIS化された様々な試験を実施します。
 
 それらの試験のひとつである粗骨材の密度測定方法は,JIS A 1110「粗骨材の密度及び吸水率試験方法」として標準化されています。
 
 JISは,日本工業規格を英訳した各頭文字で表した呼称であり,鉱工業品の品質や性能,または,試験や分析の手順を標準化しています。

一旦制定されたJISは,科学技術の進歩等に対応するために定期的な見直しが行われ,改正されると官報で公示されます。

 また,JIS改正が官報で公示されると,日本規格協会はJIS毎にA4版の冊子を発行します(ちなみにJIS A 1110は,2006年に改訂されています)。

頻度の高い試験方法は,手順を体得できますが,頻度の低い試験方法は実施の都度,手順確認が必要となります。
 
 実施の都度,閲覧が必要なJISについて,A4 冊子は活用しにくいため,日本規格協会は,鉱工業品毎に必要なJISをまとめた“ハンドブック”を発行しています。
多く生コン工場では,閲覧しやすいこのハンドブックを購入して活用しています。
 
 2006年と2008年に生コンJISハンドブックが発刊されていますが,両者を比較すると,2006年版 JIS A 1110を掲示しているのに,内容が所々異なっていました。

 現在,JIS は A4版冊子やハンドブックを購入する以外に,インターネットにより閲覧が可能です。
【参考 日本工業標準調査会:データベース検索―JIS 検索】 
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html

 そこで,閲覧を試してみたところ,2007年12月1日付けの正誤表の存在に気付きました。

JIS A 11102006 正誤表

区分 

位置 

本体 

4. 

e) d)の試料を二分し,それぞれを1回の試料とする。 

e) d)の試料を,密度及び吸水率試験の1回の試料とする。 

5. 

b) 試料を金網かごに入れ(中略)20±5の水中で試料の見掛けの質量(以下,略)。 

b) 試料を金網かごに入れ(中略)20±5の水中で試料が入った状態で金網かごの見掛けの質量(以下,略)。 

e) 密度及び吸水率の試験は,4.e)で二分した試料について1回ずつ行う。 

e) 密度及び吸水率の試験は,同時に採取した試料について2回行う。 

6. 

Q : 吸水率(質量百分率) (%) 

Q : 吸水率(質量分率) (%) 

参考 普通骨材の1回の試験に使用する試料の最小質量は,粗骨材の最大寸法㎜表示)の0.1倍を ㎏表示したものとする

 正誤表をみて気付くことがあります。そして大変ビックリしました。
 皆さん分かりますか?

 例えば,砕石2005の密度を測定しようとする場合,この最大寸法は20㎜ですから最小試料質量は2㎏となります。

 そうです。この試料を二分するかしないかにより,試験試料の量が,正と誤で倍違ってしまうのです。

 JIS正誤票は,標準化ジャーナルという月刊誌にも掲載されます。
 調べてみると2007.2月号(Vol.37)に掲載されていました。
 
 このため,粗骨材密度試験試料の量を規定の半分で,受入検査を実施している工場が多いのではないかと思われます。

 現時点では,JIS認証にかかわる諸審査等でこれが指摘されたお話は聞いていませんが,規格を作る側があまりにも説明不足であることになんともやるせない気持ちです。

 この情報を読んだ皆様,粗骨材受入検査で密度試験方法の試料の量を再確認してみましょう。

01

明日は,

   家族で温泉旅行に出かけるため

          少し浮き足立ったボンドでした。

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