『 道標 その3 』
ボンド。ベトン・ボンド。
初夏となり,いよいよ梅雨の到来です。
例年は蒸し暑い季節ですが,今年はまだ肌寒い日が多いため,何十年ぶり冷夏ではないかと密かに期待しています。
忘れてもいませんし,挫折もしていません。
工程の管理編の最終章です。
『 道標 その2 』 に引き続き,キーワードは “ 事業仕分 ” です。
この 『 道標シリーズ 』 は,優劣を紹介しているのではありません。
ただ,ボンドが好むのは マスター O.A の考え方ですから,こちらの方を褒めちぎるか のような表現が多くなっているかもしれません。
何を今更とおっしゃるかもしれませんが,O.A 及び M.K は共に大変優れたマスターです。
コンクリート技士試験は,こたえとして正解・不正解のどちらかしかありません。
しかし,“ シゴト(仕事) ” には正解がなく,あるいは一つではなく,ウマくいったかいかなかったかを問うことで判断されます。
このため,あのときウマくいった方法が,今回もウマくいくとは限りません。
この 「社内規格」 の作成方法に関するこれまでの内容から,
『 あれっ。俺んトコ,こんなこと書いてへんぞ !?
この表現はウチの「社内規格」にはあるけどな ! 』
等と感じた方がいらっしゃることと思います。
ここで良く考えてみてください。
その表現には,何か深い思慮や先人の智慧が隠れているかもしれません。
先人がご在籍の場合は,その理由をうかがってみては如何でしょうか?
えっ? もういない?
では,貴殿自身が想像して考えてください。
そして,今後どうするのかを決定してください。
それがウマくいくかどうかは,「サーベイランス,立入検査,統一監査」 を経て証明されます。
よく考え,要求事項への対応を検討するプロセスが,人員が少なくても負けない体制を作ることになります。
さて,本題に戻ります。
まずは,おなじみになりました!? 練混ぜ工程と運搬工程の組立説明図とパーツです。
表はクリックすると拡大します。
ある県の統一監査のお話です。
それは,限定された地域のルールなのかもしれません。
『 海砂を使用する場合で塩化物量の測定頻度は,JIS Q 1011〔分野別認証指針〕で 1回/日と定められているから,毎日試験しなければならない 』
?????
・ ? ・
『 ! 』
ひょっとして,
海砂使用の場合のコンクリート中の塩化物含有量の測定頻度と勘違いしているのでは・・・ ?
JIS Q 1011 〔分野別認証指針〕 で,「原材料の管理」の 表A.2.1-「骨材の受入検査方法」 を見てください。
砂の塩化物量(NaCl として) の欄には,『W-a・b(3)(塩化物量の多い砂)』と記載されています。
さらに,JIS Q 1011を1頁めくって下さい。
表A.2.1(続き)のとなりには凡例(試験頻度)の説明があります。
『 W:1回以上/週』との記載があることから,塩化物量の多い砂=海砂の塩化物量は,受入検査として週1回測定が必要と判断できます。
組立説明図とパーツでは,「コンクリートの塩化物含有量」の検査頻度について,海砂の場合は1回/日としています。
これは,“ しょっぱさ ” を計る検査ですが,食材 (海砂) そのものの味見は週1回であり,カレーライス (生コン) の味見は日1回なのです。
次は両マスターの比較です。 表はクリックすると拡大します。
マスター O.A 方式は,「社内規格」だけを眺めるとやや不恰好ですが,分野別認証指針と対比すると,これを意識して編成してあることが分かると思います。
マスター M.K 方式も,分野別認証指針をかなり意識しています。
しかし,分野別認証指針の工程名には存在しない “ 品質 ” を創作したり,限りなく “ 感覚 ” であり数値化できないワーカビリティの管理基準がある等,ボンドは個人的にうなずけないのです。
あくまでも個人的な見解ですが・・・。
JIS規格は最低の基準といわれています。
生コンは各材料を練り混ぜているだけという方もいますが,管理項目を数多く設定しても意図する状態に作り上げることが困難であり,均一な状態を得易くなるものではありません。
故に,行き過ぎの法律(「社内規格」)を整備するのではなく,JIS規格に定める最低限度の項目を管理するためのルールを設定するべきであると思います?
現在,神奈川県が再度,大揺れに揺れているようです。
例のM社が加入していた協同組合で,今度はB社という生コン会社がある期間に出荷したコンクリートで強度発現性に異変が発生しました。
大阪エリアでは,B社の強度異変の情報を受けたあるゼネコンが,各生コン工場に現状の報告を要求した模様です。
(要求内容:ロードセルの写真,プラント計量器静荷重検査記録の写し,圧縮強度について材齢7日強度と材齢28日強度の関係式など)
強度発現性の異変の原因や程度について,B社は公式に発表してないようですから真相は未だに不明です。
この問題については,真偽のほどは確かどうか判断できませんが,コンプロネット~コンクリート技術者のネットコミュニティー で情報を確認できます。
B社の場合は,ロードセルがキーワードとなっているようです。
今年 4月,コンクリート納入書に配合表を記載しなければならなくなりました。
このシステムが運用されて 2ヶ月強。
以前は,呼び強度・スランプ・骨材の最大寸法・セメントの種類を明記していただけでした。
食品偽装等の社会背景から,製造の透明性を主眼として,配合表を記載しなければならないという新たな基準が追加され,少しも規制緩和にならない私たち生コン業界です。
「 道標シリーズ 」 を再度閲覧下さい。
製品の基準だけでなく,それをつくる過程についても,細かく 管理規定 が設定されていることが判ります。
『 2度あることは 3度ある』といいます。
M社やB社は,遠い国の出来事ではありません。
今こそ,レコンキスタ〔生コンの信頼回復活動〕です。
この活動を推進して,私達の内部に存在するM社やB社を克服しましょう。
最後に・・・。
最近,記事の執筆に時間がかかります。
特に「社内規格」シリーズとなって顕著となりました。
次は無いのか ? と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
そこで予告です。
次回から 「設備」 の話をします。
タイトルは “ 色鉛筆 ” です。
乞うご期待!!
by ベトン・ボンド