2010年4月11日 (日)

『 道標 その2 』

ボンド。ベトン・ボンド。
今年は桜が咲くのは,例年より遅かったように感じましたが,満開になり散りつつあります。

少し間延びしましたが,工程の管理の続きです。
今回も2人の 『マスターO.A と マスターM.K 』 の「社内規格」に対する思想を紹介しながら説明します。
 
さて,前回の 『 道標 その1 』 もそうでしたが,実はこの「道標」シリーズは共通のキーワードがあります。
そのキーワードは “事業仕分” です。

生コンJIS工場各社の製造工程の管理に関する 「社内規格」 を眺めると,規定事項,検査関係そして作業項目を混沌とした内容となっている場合があります。

JIS規格に適合するために「標準化しなければならない項目」と, Nikonmomo
生コン製造上「標準化すべき項目」があります。
「 品質管理」 において,JIS規格で規定する項目は,最低限遵守しなければなりません。
両マスターとも,このように解釈していました。   しかし,・・・   「社内規格」を作るうえでのアプローチが異なっていました。

マスター M.K は,JIS規格で規定する項目は最低限であるから,生コン製造上「標準化すべき項目」をすべて製造工程の管理として記載する「社内規格」を好みました。

一方,マスター O.A は,JIS規格で規定する項目は最低限であるから,「標準化しなければならない項目」だけは製造工程の管理に記載し,生コン製造上「標準化すべき項目」は,作業標準として他の章で規定する方法を好みました。

そうです。
マスター O.A は,JIS規格に適合するために「標準化しなければならない項目」と,生コン製造上「標準化すべき項目」を “事業仕分” したのです。

何を使って “事業仕分” したのか?
みなさん分かりますか・・・?
それは,これまで組立説明図として取り上げてきた 「JIS Q 1011」 です。

適合性評価-日本工業規格への適合性の認証-分野別認証指針 「JIS Q 1011」 は,模型を完成させるために導いてくれるための 「道標」 なのです。

では,材料計量に関する組立説明図とパーツの関係をご覧下さい。 クリックすると拡大します。

Kikaku51
 
『 あのさぁ~・・・。
 マスターの思想の違いを文字で言われてもわかれへんねんけど。
 絵で書いてくれへんか!』  ペルー・ボンド

そうですね。
では,つぎの “え” をご覧下さい。
まずは,前回の配合工程に関する “え” です。 表はクリックすると拡大します。 
Hikaku01  
 
次に材料計量に関する“え”です。   表はクリックすると拡大します。 
Hikaku02  
『 え~っ。
 マスター O.A の方がコトバ少ないやん。足れへんのちゃう !
 オペレーターは,計量器のゼロ点見てるし,
 材料計量値もオーバーしてへんかどうかも見てるやん。』   尼西の虎

では,組立説明図(JIS Q 1011〔分野別認証指針〕)をもう一度よく観ましょう。
「管理項目」として記載されているのは,計量方法・計量精度(動荷重)・計量値及び単位量の記録の 3つです。

計量器のゼロ点 や 計量値の確認は,生コンを製造する上では実施しなければなりませんが,工程の管理としてではありません。

マスター O.A は,JIS Q 1011 〔分野別認証指針〕に規定されていないが,生コン製造上必要なこの種の事項を 「製造作業標準」 と位置付けをして,「社内規格」で 「製造工程の管理」 を規定している箇所とは別の章で規定しています。

ここで,審査員になってみましょう。
審査員のシゴトは,JIS Q 1011 に規定する項目が,申請者の「社内規格」に規定されているかどうかとその規定に基づく記録の確認です。

“ 配合工程・計量配合の指示方法 ” などの規定しなければならない項目が他のページにあり, “ 材料計量・計量器ゼロ点確認 ” などの求められていない作業標準が入り交じって規定されている「社内規格」は,審査員にとって “大変見にくい” ものではないでしょうか。

何度経験しても,審査を受けるのは楽しくありません。
審査官に少しでも早くお引取り願うためにも,マスターO.A の思想を取り込むべきです。

このブログのトピックスで発信されているように,生コンJIS工場では 4月より新しい5つの規定が施行されています。
それらと注意事項を以下に示します。   表はクリックすると拡大します。
20100401  

この 5つのうち最も重要なのは,計量に関する記録の保存です。
これは,先に掲示した材料計量についての組立説明図とパーツでも赤字で書きました。

購入者から要求に関わらず,5年間はバッチ毎の計量記録を保存しなければなりません。
製造工場として要求される文書や記録といった書類は,いままで一部の部署によって記録・確認・処理されてきたように思います。

購入者の要求を受けた物件に関する提出書類は,提出前に技術課の方や試験担当者あるいは品質管理責任者が確認しました。

それでは,購入者から要求のない物件はどうでしょうか ?

出荷量が減少している昨今では,各生コン会社は,ギリギリの要員で運営しています。
今までのように,品質管理責任者や技術担当者だけで対応できる時代ではなくなっています。

特にこの計量記録の管理は,品質管理責任者や一部署である試験係だけで対応すべき項目ではありません。

JIS認証は,品質管理責任者や技術課に与えられたものではなく,「工場全体の責任」として,統一した認識の基礎で,要求する内容を維持することを求めています。
 
新しいシステムには,若い力で結束して立ち向かうことが必要です。

初夏のカゼを感じながら,   Sx
結束を象徴した「サザンクロス」旗を思い浮かべています。
記事をアップする速度は大変衰えましたが,3年目の春を迎えました。

                         by ベトン・ボンド

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