2009年7月 3日 (金)

『 暗黒面Ⅲ 養成 』

ある会議の模様です ( ただし,フィクションです )。

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「我々のエリアは,過当競争地区である。勝ち残るためには,原価対策が必要である。」
「工場としては,極力最小人数で運営しておりますし,固定費の面からも精一杯です。」

「その部分は十分理解している。だから,例の砂を使用してほしい。」
「あの砂を使用した生コンは,JISマークを表示できないと思われますが……。」

「その件は,先方に確認した。最近あらたにJISになったと聞いている。」
「その砂は,生コンの規格で使ってよいと書いてありません。
  また,使用実績も少ないため,生コンへの影響を鑑みて使用したくありません。」

「JIS化された砂を生コンに使えないのはおかしいじゃないか。
  いいか,この砂は無料なんだぞ!
  仮に生コンの規格で使えないとしても,固まってしまえば文句ないし,同じじゃないか!
  少しづつ混ぜて使っていけ!
  それで慣れてきたら全量使え! ○○部長,最高の原価対策じゃないか。いいな」
「………。」

溶融スラグ骨材を原価対策のために使用したあのM社で,このようなやり取りがあったかどうかは分かりません ( しつこいようですがフィクションです ) 。

そのM社の実態は,社長が会社を失い,従業員が職場を失いました。
そればかりか,私たち生コン業界は,信頼を失いました。

M社事件は,レディーミクストコンクリート,プレキャストコンクリート等の,コンクリートに関連するJIS規格が改正される際の説明会で,必ず話題に上がります。

M社が,過当競争による生コン価格の下落に対して,販売価格を是正しようとしたかどうかは,定かでありません。

しかし,“ 固まってしまえば分からない ” との暗黒面のささやきを信じ,無料ではあっても,JIS表示違反となる骨材を使って生コンを製造出荷するという安易な手法を取りました。

そうです。
私たちの生コン業界では,この “ 固まってしまえば分からない ” という概念こそが,最も危険なダークサイドなのです。

ここで再び,タイトルである 「 暗黒面 」 の元になった『 STARWARS 』 のお話です。
この映画のエピソードⅢのストーリーです。

主人公は,最愛の人の死を予見し,これを回避する方法を模索し路頭に迷っています。
これに対し,フォース(理力)のライトサイド(ジェダイ)は, “ 失うものを恐れるな ” と諭します。
一方,ダークサイドは “ 過去に生命を創る 「秘法」 があったから,一緒にこれを編み出そう ” と囁きます。

主人公は,心を迷わせた挙句,最愛の人を死から救うために,ダークサイドに転落します。

欲望のまま力を解放した結果……。
この主人公の行為は,最愛の人の心をつかむことができず,死から救うことができなかったうえに,体の大半がサイボーグ化されてしまいます。

一方のライトサイド(ジェダイ)側は,生命を創る 「秘法」 こそありません。
しかし,ラストシーンでジェダイの老師 “ ヨーダ ” が,冥界に旅だった者と交信する術の存在を明らかにします。

<なお,詳しくは映画をご覧下さい( エピソード III / シスの復讐 Episode III)>

結局ダークサイドという安易な道には解決方法がなく,ライトサイドにこそ,それを補う術があったのです。

安易な道におぼれてはいけません。
これを回避する方法は,ありふれたコトバですが,それは “教育” ではないでしょうか?

教育とは,コンクリート工学を暗記することだけではありません。
折衝する力をつけるような人材を養成する教育が必要です。

ひとつひとつの生コン会社は,大変微力です。
このため協同組合や工業組合を結成しているのではないでしょうか?
これらの組合は,政治力を駆使したシェア割や形骸化した監査を淡々と継続しています。
この 不況の時を 乗り切るためには,人材の育成に主眼を置いた活動をする必要があるのではないでしょうか?

折衝力のある人材。
私たち HiRAC も,人材をはぐくむ努力を惜しむことなく継続していきます。

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20090608  

                                 梅雨が終われば……
                  暑い暑い空が顔を出します
                       by ベトン・ボンド

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