『 契約 』
ボンド,ベトン・ボンド。
近々,生コンの工業標準化規格 “ JIS A 5308 ” と “ JIS Q 1011 ” が改正されます ( 3/20 官報公示予定)。
日本規格協会が協賛で開催した説明会をはじめ,登録認証機関等も改正説明会を開催しており,改正内容はすでに公開されています。
これらの説明会は,改正の最終原案に基づいて実施されましたが,パブリックコメントとして改正に関する意見を集計し,再度内容を検証したあと,正式に官報で公示されます。
新しい規格は,この後発行されることになります。(JIS A 5308 改正説明会質問への回答)
一体,私たち生コン製造に従事している者は,これらの工業規格をどこまで熟知しているのでしょうか。
そう !!! 私たちは,意外と生コンの工業規格を知らないかもしれません。
なぜなら,これらの規格をじっくり読むと眠たくなります。
いやもとぃ,細部にわたり規定されていることが分かります。
『 適用範囲は,荷卸し地点まで配達されるまでである 』 とか,
『 製造工程の管理で砂のふるい分けは,1回以上/日実施せよ 』 とか,
『 現場配合の指示方法を規定せよ 』 等です。
改正についての詳細や,具体的な対応方法については,次週から紹介するとして,今回は規定についてみなさんと一緒に考えたいと思います。
なぜ,生コン工業規格は細かく細部にわたり定められているのでしょうか?
それは,日本国が法治国家だからだと思います。
そのむかし,明治維新のころ,近代国家の仲間入りを果すため,かつての千円札に乗っていた伊藤博文たちはヨーロッパの国々を視察し,憲法を学んだそうです。
このとき,日本の視察団はヨーロッパの国々の憲法が細部にわたっていることに大変驚かされたと聞いたことがあります。(大日本帝国憲法)
ヨーロッパの国々の根幹は,キリスト教です。
このキリスト教は,契約教ともいわれておいます。
つまり,唯一の神様だけとの約束を守る宗教です。
ちなみにイスラム教やユダヤ教も唯一の神との契約教ですが,これら 3つの宗教は,それぞれ,約束の解釈が異なっています。(契約宗教)
たとえば,ユダヤ教では,食べてよい物,食べてはいけない物,すなわち 『 食物規定 』 を明確に定義しています。
イスラム教によると,豚は食べてはいけない物で,どのように加工されようが例外を認めません。
一方,日本の 『食物規定』 は,環境や状況でコロコロ変化してきました。
徳川幕府時代の 『食物規定』 は,四本足の動物は食してはならないとされていました。
ところが,ウサギは一羽・二羽と数えるから,いわゆる鳥として分類していいるから食べても良いとか,イノシシは山鯨と呼ばれるから食べても差し支えないなどとして都合よく例外を認めてきました。
この例外は,ときの 『おふれ』 として 『文書化』 されたわけではなく,慣例として解釈されていたようです。
キリスト教やイスラム教そしてユダヤ教の神は,とても残酷です。
戒律を破った人間は,ためらうことなく消し去ってしまいます。
このため,民族の存亡をかけて,神と対話する 『預言者』 というヒトを必要としてきました。
このような背景のもとで,憲法(法律)が形成されたのです。
明治維新を経た偉人達は,この憲法(法律)を学び,これを取り入れました。
もちろん,法律には犯すことのできない項目もありますが,たとえば車を運転するときの法定速のように,違反が即,生命の危機におよばないものもあります。
また,工業標準化法を含む日本の法律には, 『 原則として 』 とか, 『 望ましい 』 といった白黒はっきりしないものが多数あります。
これは,法そのものが良否ではなく,どのように解釈し運用するのかといった問題かも知れません。
いずれにせよ,本当に私たちは,生コンに関する工業規格を熟知しているか真剣に考える必要があります。
生コン工場として,生コンの規格を遵守するためには,試験係といった特定のヒトだけが規格を理解していればよいという時代はとっくに終わっています。
生コンは,生コン会社に従事しているすべてのヒトが造りこむ工業製品なんです。
生コンJIS工場が,遵守しなければならない基準類は 5つあります。
HiRACの皆さん,何かわかりますか ?
さぁ,来週までゆっくり考えてみましょう !!