『 混擬土 』
ボンド,べトン・ボンド。
さて,今日のタイトルは,どのように読み,何を指しているのでしょうか?
一般の会話です。
「おれ,生コン会社で働いてんねん。」
「へぇ~。じゃあ,毎日ミキサ乗って,配達してんの?」
そうです。
一般の人々は,生コンという言葉から,トラックアジテーター(生コン車)を連想することが多いように感じます。
では,生コン会社(工場)とは,どんな会社(工場)でしょうか?
先の会話のように,宅急便などの配達をメインとする運送会社なのでしょうか?
不思議に感じるかもしれませんが,生コンは工業製品です。
つまり,生コンは,鉄筋,自動車,家電製品等と同じ部類になります。
工業製品のなかでも,生コンは,かなり特殊です。
なぜなら,家電製品など他の工業製品は,それを製造する工場から出荷されるときには,既に製品ですが,生コンは製品として扱えないからです。
生コンの工業規格 JIS A 5308 や分野別認証指針 JIS Q 1101 をよく眺めてみてください。
これらの規格では,生コンの製造工程を次の範囲で規定しています。
① 配合工程 ② 材料計量工程 ③ 練混ぜ工程 ④ 運搬工程
つまり,生コンはアジテータが工場を出発したときに製品になるのではなく,荷卸し地点でアジテータのシュートから落ちた瞬間に製品に変わるのです。
生コンは文字通り “ ナマモノ ” ですから,練混ぜ直後の性状は,時々刻々変化していきます。
このため,供給できるエリアが時間的に制限されるのです。
生コン会社で働いている人達のなかには,品質管理に携わる部署だけが,生コンを製造・管理していると誤解しているかのように見える場合があります。
出荷業務は,品質管理のうえでも,生コンの運搬という工程に責任を持つ重要な部門です。
時々刻々変化する生コンを管理しながら,配達を指示しているのです。
例えば,現場で生コンの品質クレームが発生した場合,先の ①~④ のどの工程に問題があるのかを調べる必要があります。
良質に出来上がった生コンも,運搬や荷卸しの仕方次第では,持ち帰りとなる場合が往々としてあるのです。
先日,ある食事会の最中,“ あまにしのトラ ” との異名をとる方が,鋭い視線で主張しました。
『 生コンの運転手は,宅急便と違うんや!! 生コンの運搬を管理せんとあかんのやで 』
私たち,グループ HiRAC は大丈夫です。
ある運送業者は,“僕たちセールスドラーバー”という合言葉を唱えています。
HiRAC で生コン運搬に携わる者は,“ われらはプロダクトドライバー,常にホールインワン ” を合言葉にして仕事をしています。
アジテータ車の全容図
(ZENNAMA ナマコンパークより)
最後になりましたが,タイトルの漢字は “ コンクリート ” と読みます。
日本では,古来,土壁に代表されるように “ 土 ” が建築資材の主流でした。
コンクリートは,練混ぜ造る,土に類似した建築資材という意味が込められているような感じがしてなりません。
本邦最初鉄筋混凝土橋之碑(山科区日ノ岡堤谷町)
明治36(1903)年7月に竣工
今日は遠方に出張です。その電車の中からお届けします。
by べトン・ボンド