コンクリートの国際標準化(ISO/TC71)について
コンクリート製造業界でも,ISO9000(1987年制定)やISO14000(1996年制定)を認証取得している工場が珍しくはなくなっています。
ご存じのように,ISO規格は,スイスのジュネーブに本部があり,1947年に設立された国際標準化機構(157カ国参加 2008.1)が発行しました。
しかし,景気の低迷や運用に力を削がれるとの誤解から,認証を取得する動きは,ひと休みの様子です。
また,国際標準として作成された規格だから受け入れにくいとの意見もありますが,どうも私たち日本人は,ルールを適切な対応とか臨機応変とか,さらには緊急避難という言葉で,簡単に変えてしまうように感じます。
大阪兵庫生コンクリート工業組合で10月から開始された,全国統一品質管理監査の業界基準でさえ,運用の段階では曖昧模糊とされており,最終的には基準が間違っているかのごとく処理されていきます。
国家規格も団体(業界)基準も,守れないのは運用する側の問題で,社内規格を守れるはずもありません。
能力がなければ背伸びをしないことです。
業界を鎖国することは,信頼を失墜させる種を植え続けることになり,自己満足のツケはいずれ社会に払う時がやってきます。
さて,コンクリートの国際標準化は,製造現場を置いてきぼりにし,着々と進んでいるようです。
コンクリートに関連する委員会の活動は,表.〔 国内委員会と活動状況 〕 にあります。
私たちが加盟している団体が,社会に認知される物差しをもっているのかどうかを,今こそ広い視野から,注意深く検証しておく必要があります。
表. 国内委員会と活動状況 | |
国内の委員会名称 | 専門委員会/分科委員会/ワーキンググループ |
社団法人日本コンクリート工学協会 | ・ISO / TC71 及び同 / SC1, SC2, SC3, SC4, SC6, SC7, SC8 |
ISO/TC71 対応国内委員会 | ISO / TC71 : コンクリート、鉄筋コンクリート |
及びプレストレストコンクリート | |
SC1 : コンクリートの試験方法 | |
SC2 : コンクリート構造物の設計通則 (廃止) | |
SC3 : コンクリートの製造及び管理 | |
SC4 : コンクリート構造物の性能基準 | |
SC5 : コンクリート構造物の簡易設計基準 | |
SC6 : コンクリート構造物の新補強材料 | |
SC7 : コンクリート構造物の維持管理及び補修 | |
SC8 : コンクリート及びコンクリート構造物の | |
コンクリート及びコンクリート構造物の環境マネジメント | |
社団法人セメント協会 | ・ISO / TC74 : セメント及び石灰 |
ISO/TC74 国内審議委員会 | |
社団法人土木学会 | ・ISO / TC98 / SC3 / WG10 |
ISO/TC98/SC3/WG10 対応小委員会 | ISO / TC98 : 構造物の設計の基本 |
SC3 : 荷重、外力とその他の作用 | |
WG10 : 地盤基礎構造物への地震作用 | |
社団法人地盤工学会 | ・ISO / TC182 : 地盤工学 |
ISO国内委員会 | ・ISO / TC190 及び同 / SC3, SC7 |
ISO / TC190 : 地盤環境 | |
SC3 : 化学的方法と土の特性 | |
SC7 : 土及び現地評価 | |
・ISO / TC221 : ジオシンセティック |
NP | : 新作業項目 | New Work Item Proposal |
WD | : 新作業原案 | Working Draft |
CD | : 委員会原案 | Committee Draft |
DIS | : 国際規格原案 | Draft International Standard |
FDIS | : 最終国際規格案 | Final Draft International Standard |
IS | : 国際規格原案 | International Standard |
WG | : 作業部会 | Working Group |
SC | : 分科委員会 | Sub-committees |
TC | : 専門委員会 | Technical Committee |