内川・土居川まつり,あいにくの雨です。
9月30日 午前9時半から午後4時までの予定で,内川・土居川まつりが開催されました。
前日から降り続く冷たい雨にもかかわらず,会場となったザビエル公園とザビエル公園西側内川河川敷には,まつりを成功させようとする多くの皆さんが集まり,いろいろな催しが行われています。
私たちが参加する,手作りボート展示会場にも,熱心な方々が見に来てくれました。
午後からのレースで,市民の皆さんにアナウンスしてもらう,プロフィールを紹介します。
■ プロジェクトZ (艇の愛称: Beton 1)
プロジェクトZとは,堺を本拠とする技術グループHiRACの若い技術者が,自らのコンクリートに関連する独創的な発想で,広く社会に貢献する活動を積極的に推し進めていく取り組みを総称しています。
今回出場したカヌーは,工場内にある材料や廃材を使用しています。型枠は木でつくり,それにメンバー全員でモルタルを塗りつけました。
コンクリートは,5つの材料を混ぜて造られています。
セメント,水,砂,石と薬です。
セメントと水を混ぜ合わせたものを,セメントペーストと言います。
セメントペーストと砂を混ぜたものを,モルタルと言います。
そして,モルタルと石を混ぜあわせたものを,コンクリートと呼んでいます。
水をたくさん使うと,ひび割れができやすいので,薬を使って水が少なくなるように工夫しています。
さて,このカヌーの砂や石の部分に,発泡ガラスを使っています。
発泡ガラスとは,自動車のフロントガラスや家庭で出されたビンなどの廃棄物を再利用するために造られたものです。限りある資源をもう一度使用する社会,すなわち「循環型社会」のために開発された材料です。
最後に,このカヌーには,大きな欠点があります。
どういう訳か,くるくる廻るのです。
クルーの腕で,カバーできるかどうか・・・?
初出場ですので,今回は完走を目指します。みなさん,応援してください。
■ 技術グループ HiRAC (艇の愛称: Beton 2)
私たち,技術グループHiRAC(拓く)は,生コンクリート工場の技術者が集まって組織されているため,日頃から関わっているコンクリートでカヌーを造りました。
このカヌーは,当然のことですが,直進性・安定性・重量軽減を重視して製作しました。
発泡スチロールを型枠として,軽量モルタルを塗りつけました。
軽量モルタルの主な材料は,パーライトです。
パーライトは,黒曜石などを高温で熱処理してできる発泡体で,ガラス質の岩石中に含まれる構造水がガス化して発泡した非常に軽い材料です。
また,パーライトそのものは強度が低いため,高性能AE減水剤という薬を使用して,セメントと水を混ぜ合わせ船体の強度を確保しました。
実は,このカヌーは試作品です。
不思議なもので,その後に造った艇よりすべての点で計画通りになっています。
大会出場は初めてなので,結果はともかく,皆さんと一緒に「内川・土居川まつり」を楽しみたいと思っております。
■ Team Gi2 (艇の愛称: 渉)
平均年齢60歳を超える,鉄屋さんと生コン屋さんが気のあった仲間の手を借りて,コンクリートでカヌーを造ってみました。
コンクリートは,一般に重くて沈むと思われています。このコンクリートカヌーの質量は100㎏程度あります。しかしカヌーの中に水をはっても沈みません。
一方,コンクリートには,「コンクリートジャングル」とか「暖かみがない」とか,はたまた,「地球温暖化を進める」とかいった悪いイメージがあります。
しかし,コンクリートには『浮くコンクリート』,『曲がるコンクリート』も造ることができ,環境に対する取り組みも行われています。
コンクリートに関わった仕事をしている私たち技術者は,皆さんにいろいろな可能性をお知らせしたくて参加しました。
たとえば,
1.カヌーに使用したモルタルは,水に浮きます。
水に浮くモルタルやコンクリートは,それ自体に草を植えることが可能で,自然と共存でき,やがてはメダカやトンボ達の住み家となり,河川環境を改善できます。
2.カヌーには,モミガラ灰を使用しています。
あまった,モミガラは農業では厄介者になる場合があります。でも,モミガラを焼いたモミガラ灰は,二酸化ケイ素を90%程度含んでおり,これが,コンクリートを緻密にし,高強度化を可能にしてくれます。
いろいろな物は,人が造り,人がコントロールしています。
いま,人の知恵と力で,今までの反省をもとに,環境をコントロールしようと試みています。
私たち技術グループHiRACも,ここ堺の地で,コンクリートの良い部分を環境の中に溶け込ませていく活動を続けていきます。